2026.02.27

事業中断リスクに備える保険とは?保険の概要と加入のメリット・注意点をわかりやすく解説

事業中断リスクに備える保険とは?保険の概要と加入のメリット・注意点をわかりやすく解説

事業を営む中で、不測の事態によって事業が中断することがあります。不測の事態とは、たとえば火災や爆発、落雷、外部からの物体の落下などが挙げられます。

このような事態が生じると、破損・倒壊した建物の再建築が必要となります。これに加えて、復旧するまでの期間、事業の中断を余儀なくされることでしょう。

しかし、建物の修繕や再建築などに掛かる費用は火災保険から補填されることが多いのに対して、休業期間中に得そびれた利益までは一般的な火災保険では補償対象とならないことが多いです。そこで検討したいのが、休業補償保険などによる備えです。

では、事業が中断することで、企業には具体的にどのようなリスクが生じるのでしょうか?また、事業中断に備えられる保険には、どのようなものがあるのでしょうか?今回は、事業中断によって企業に生じ得る主なリスクを紹介するとともに、事業中断に備えられる保険の種類や事業中断に保険で備えるメリット・注意点などについて解説します。

ハレノヒハレは「未来すべて、ハレになれ。」をコンセプトに、お客様の未来を「ハレ」にする法人保険コンサルティングを行っています。ご相談はオンラインで、「どこでも・何度でも」可能です。事業中断に備える保険への加入をご検討の際や、自社に必要な保険についてプロからのアドバイスをご希望の際などには、ハレノヒハレまでお気軽にご相談ください(ご相談したいことがございましたら「お問い合わせ」フォームからご入力をお願いいたします)。

事業中断によって生じる主なリスク

事業が中断することにより、企業にとってどのようなリスクが生じるのでしょうか?はじめに、事業中断によって企業に生じ得る主なリスクを紹介します。

  • 利益減少リスク
  • 復旧費用増加リスク

利益減少リスク

1つ目は、利益減少リスクです。利益減少リスクとは、事業の中断によって本来は得られたはずの利益が得られなくなるリスクです。

このように、「本来であれば得られたはずの利益(事業中断によって得る機会を逃した利益)」を、「逸失利益(いっしつりえき)」と言います。この利益減少リスクは、事業中断の期間が長くなるほど大きくなる傾向にあります。

利益が減少することによって生じるリスクは、主に「営業収益・営業利益の減少」と「固定費支出の継続」とに分解できます。

営業収益・営業利益の減少

営業収益・営業利益の減少とは、事業が中断することで収益が得られなくなることから直接的に生じるリスクです。

飲食店や小売店などの店舗であれば、事業を中断することで売上が得られなくなります。また、工場などの生産設備で事業を中断することとなれば製造や出荷ができなくなり、これによる収益が得られなくなるでしょう。

これにより、事業の収益性や資金繰りが悪化して、平常時であれば問題のない借入金の返済に支障が出たり、上場企業であれば株価の低下につながったりするおそれが生じます。

固定費支出の継続

固定費支出の継続とは、営業収益や営業利益が減少しても、固定費の支出が続くリスクです。

固定費とは、生産量や販売量などに関わらず発生する費用です。具体的には、従業員の人件費や地代家賃、広告宣伝費などがこれに該当します。

事業が中断しても、固定費の支払いは原則として減少するものではありません。事業を中断して営業利益が得られない期間であっても、固定費の支払いは通常どおり必要となります。

そのため、事業の中断期間が長くなると固定費の負担が重くなり、従業員の解雇が必要となったり、資金繰りの目途が立たず事業継続を諦めざるを得なくなったりするおそれが生じます。

復旧費用増加リスク

2つ目は、復旧費用増加リスクです。復旧費用増加リスクとは、早期の復旧と営業再開のために追加で費用が生じるリスクです。

事業中断後は、早期の営業再開のために、次の支出などが必要となることが多いでしょう。

  • 片付け・清掃・消毒
  • 代替施設への移転や移設
  • 代替店舗・倉庫の利用
  • 重機の手配
  • 復旧要員の手配
  • 設備再稼働のための調整
  • 原材料や資材などの追加購入

必要な支出は事業が中断した原因などによって異なるものの、事業の早期再開へ向けてこのようなさまざまな支出が必要となる可能性があります。

そもそも「保険」とは?

事業中断リスクへの備えとして、保険に加入することが検討できます。

そもそも「保険」とは、「起きる可能性は低いものの、起きた場合に自己資金だけで賄うことが難しい甚大な金銭的損失が生じ得る事態」に対して、契約者がお金を出し合って備えるものです。保険には貯蓄型のものなど一定の返戻金がある商品もあるものの、一般に、保険の主目的は保障機能にあります。

火災や自然災害などによる事業の中断は、まさに保険で備えるべきリスクの1つであるといえます。事業を中断せざるを得ないほどの火災や自然災害に巻き込まれるリスクは高くないため、結果的に保険金を受け取る機会は訪れないかもしれません。

しかし、火災などで事業を中断せざるを得ない事態が起きれば、その被害回復を自己資金だけで賄うのは困難でしょう。

保険に加入して事業中断に備えることは、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)においても重要であるといえます。

事業中断リスクに備える主な保険

事業中断リスクに備えられる保険としては、「休業補償保険」と「利益保険」※が挙げられます。ここでは、それぞれの保険について概要を解説します。

※会社によって事業中断リスクに備えられる保険の名称は異なります。

なお、休業補償保険と利益保険は明確に分類できるわけではなく、ここで紹介する休業補償保険のような内容の利益保険なども存在します。そのため、加入する保険は名称だけで選ぶのではなく、その保険の補償内容を十分に確認したうえで選定することをお勧めします。

休業補償保険

休業補償保険とは、火災や爆発、落雷などにより事業を中断せざるを得なくなった場合に、休業期間に応じて保険金が支払われる保険です。

一般的に、休業補償保険では、契約で定めた一定の保険事故が生じた際に、休業日数に「1日あたりの保険金額」を乗じて保険金額が算定されます。たとえば、1日あたりの保険金額が10万円である場合、営業再開までに20日を要した場合や200万円(1日あたり10万円×20日)が支払われるということです。(実際の支払条件や算定方法は保険商品や契約内容によって異なります)

ただし、保険金の支払い対象となる休業日数(「補償期間」といいます)は、無制限ではありません。具体的な日数は保険商品によって異なるものの、「30日」や「60日」、「90日」など複数の選択肢の中から加入時に選択することが一般的です。

補償期間が長い方が保険料が高くなることが一般的であるため、自社に合った補償期間を選択しましょう。

利益保険

利益保険は休業補償保険と同じく、火災や爆発、落雷などにより事業を中断せざるを得なくなった場合に、保険金が支払われる保険です。

ただし、休業補償保険とは異なり保険金額は「1日あたり〇円」などと定額で定めるのではなく、「逸失利益額と収益減少防止費用の合計額」から算出されることが多いでしょう。

逸失利益額とは、先ほど解説したように、火災などで休業を余儀なくされたことで得られなくなった利益です。利益保険において補償対象となる逸失利益は、一般的に次のように算定されます。

  • 補償対象となる逸失利益額=生産高(売上高)減少額×約定補償率

約定補償率とは、保険金を算定するうえでの簡易的な「利益率」です。多くの業態において「売上高=利益額」ではないため、事業中断によって売上高や生産高が減少した場合、これに伴って材料や商品の仕入高も減少することが多いでしょう。

これを調整するために、「生産高(売上高)減少額」に「約定補償率」を乗じて、逸失利益額を簡易的に算定しています。なお、約定補償率は保険契約時に、保険会社の引受基準に基づき、契約時に設定します。

一方で、収益減少防止費用とは、早期の復旧と営業再開のために特別に生じる費用です。先ほど「復旧費用増加リスク」で紹介したように、早期に営業を再開して収益減少のリスクを最小限に抑えるためには、片付けや清掃、消毒、代替施設への移転や移設、代替店舗や倉庫の利用などの費用負担が生じます。

利益保険では、このような収益減少防止費用についても一定の上限額まで補償されることが一般的です。

ただし、先ほど解説したように具体的な補償内容は加入する保険商品によって異なります。加入前にはその保険の補償内容をご確認ください。

事業中断リスクに保険で備えるメリット

事業中断リスクに保険で備えることには、どのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、主なメリットを2つ解説します。

  • 万が一の事業中断リスクに備えられる
  • 安心して経営に取り組みやすくなる

万が一の事業中断リスクに備えられる

事業中断リスクに保険で備える1つ目のメリットは、事業が中断した際に金銭的な補償が受けられることです。

休業補償保険や利益保険に加入していない場合、火災などによって事業が中断する事態となった際に、業績に甚大な影響が及びかねません。火災保険によって建物の修繕や再建築に関する一定の費用は補償されることが多いものの、事業の中断期間中に収益がまったく得られない状態となれば、事業再建が困難となるおそれもあるでしょう。

休業補償保険や利益保険に加入しておくことで、万が一の際に収益が途絶える事態を避けられ、従業員を解雇したり事業再建を諦めたりする事態を回避しやすくなります。

安心して経営に取り組みやすくなる

事業中断リスクに保険で備えるメリットの2つ目は、安心して経営に取り組みやすくなることです。

経営において、「攻め」と「守り」は両輪であるといえます。「攻め」だけを重視して保険に加入しなければ、万が一火災などにより休業を余儀なくされた際に、再建が困難となるかもしれません。

休業補償保険や利益保険に加入して「守り」の部分を固めることで、安心して事業展開を進めやすくなるでしょう。

事業中断リスクに保険で備える注意点

事業中断リスクに保険で備えようとする際は、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?ここでは、主な注意点を3つ解説します。

  • 具体的な補償内容は保険商品ごとに異なる
  • すべての損失が補償されるとは限らない
  • 他の保険と補償内容が重複することがある

具体的な補償内容は保険商品ごとに異なる

事業中断リスクに備える保険の具体的な内容は、保険商品ごとに異なります。そのため、保険への加入で事業中断リスクに備えようとする際は、その保険の補償内容をあらかじめよく確認しましょう。

また、補償期間や補償範囲などがカスタマイズできることも多いです。そのため、自社にとって必要な補償が過不足なく受けられるよう補償内容を検討することも必要です。

すべての損失が補償されるとは限らない

保険に加入したからといって、事業中断に関するすべての損失が補償されるわけではありません。具体的な補償内容は保険商品によって異なるものの、次の場合には補償対象とならないことが一般的です。

  • 契約者や保険金受取人などに故意や重大な過失がある場合
  • 地震や噴火による休業である場合
  • データなどの情報だけに生じた損害である場合(別途、「サイバー保険」に加入することが検討できます)
  • 戦争や外国の武力行使、革命による休業である場合
  • 保険期間開始前に生じた損害である場合 等

また、利益保険であっても逸失利益が無制限に補償されるのではなく、一定の上限額が設けられているものがほとんどでしょう。また、補償対象となる事業中断期間にも、「30日」や「90日」など制限が設けられていることが一般的です。

具体的な補償範囲は加入する保険や契約内容などによって異なるため、事前に確認しておくことをお勧めします。

他の保険と補償内容が重複することがある

休業補償保険や利益保険は単独で加入する場合もある一方で、火災保険など他の損害保険の特約として付加することも少なくありません。そのため、自社では休業補償保険や利益保険に加入していないと思っていても、他の保険の特約としてすでに付加されている可能性があります。

補償が重複する場合は二重で保険金が支払われるのではなく、2つの保険の保険金が調整されることとなります。つまり、せっかく支払った保険料が、無駄になってしまう可能性が高いということです。

補償の重複を避けるため、新たに休業補償保険や利益保険に加入しようとする際は、すでに自社が加入している保険に同様の特約などがついていないか事前に確認しておく必要があるでしょう。

事業中断リスクに備える保険を選ぶポイント

事業の中断リスクに備える保険を選ぶ際は、どのようなポイントを押さえれば良いのでしょうか?ここでは、事業中断リスクに備える保険を選ぶポイントを3つ解説します。

  • 事業中断によって生じる損失を算定する
  • リスクに応じて補償範囲を検討する
  • 複数の保険を比較して自社に合った保険を選択する

事業中断によって生じる損失を算定する

1つ目のポイントは、加入前に、事業中断によって自社に生じる損失を算定しておくことです。

事業中断に備える保険に加入する前には、火災や落雷など不測の事態が生じたと想定し、復旧までに何日(何か月)程度の期間がかかりどの程度の利益が消失し、どのような固定費がどの程度かかるのかを試算しておくと良いでしょう。

事業中断によって生じ得る損失を具体的に算出しておくことで、必要な補償や補償期間、補償金額などが分かり、的確な保険を選定しやすくなるためです。

リスクに応じて補償範囲を検討する

2つ目のポイントは、リスクに応じて補償範囲を検討することです。

休業補償保険や利益保険による補償の範囲は保険商品によって異なるほか、契約内容によっても変動します。自社にとって必要なリスクが補償対象から漏れないよう、補償範囲を的確に設定しましょう。

同様に、補償期間についても慎重な検討が必要です。先ほど解説したように、補償期間は「30日」や「90日」など複数の選択肢の中から選択できる保険が多いでしょう。補償期間を短く設定すれば保険料は比較的安価で済むものの、その期間を超えて休業を余儀なくされた場合、補償が不足するおそれが生じます。

その反面、補償期間が長ければより手厚い補償は受けられるものの、保険料が高くなることが一般的です。そのため、想定される事業中断の状況に応じ、自社にとって的確な補償期間を選択する必要があります。

複数の保険を比較して自社に合った保険を選択する

3つ目のポイントは、複数の保険を比較したうえで自社に合った保険を選択することです。

事業の中断に備えられる休業補償保険や利益保険の具体的な補償内容やカスタマイズできる内容は、保険によって異なります。そのため、はじめから1社に絞るのではなく、複数の保険を比較して自社に合った保険を選択するとよいでしょう。

事業中断に保険で備えたい場合はどうすればよい?

不測の事態による事業中断のリスクに対して保険で備えたい場合には、まず保険のプロに相談するのがお勧めです。

事業中断に備える保険の補償内容は、保険商品によって異なります。また、補償範囲や対象日数など、自社に合わせたカスタマイズが必要となることも多いでしょう。安易に保険商品を選んで加入した結果、自社が特に備えるべきリスクがその保険の補償範囲から外れていれば、取り返しがつきません。

そのため、事業中断リスクに保険で備えたいのであれば、まずは保険のプロであるファイナンシャルプランナーに相談するのが近道です。プロに相談することで、自社が備えるべきリスクに備えられる保険を的確に選定しやすくなります。

ハレノヒハレは「未来すべて、ハレになれ。」をコンセプトに、お客様の理想の未来を叶えるための法人保険コンサルティングを展開しています。ご相談はオンラインで、「どこでも・何度でも」可能です。事業中断に備えて保険への加入をご検討の際や、自社に必要な保険についてプロからのアドバイスをご希望の際などには、ハレノヒハレまでお気軽にご相談ください(ご相談したいことがございましたら「お問い合わせ」フォームからご入力をお願いいたします)。

事業中断リスクと保険に関するよくある質問

最後に、事業中断リスクと保険に関するよくある質問とその回答を紹介します。

事業中断リスクに備える保険はどの保険でも同じ?

事業中断に備える保険は数多く販売されているものの、その具体的な内容は保険商品ごとに異なります。

そのため、事業中断に保険への加入で備えようとする際は、自社のニーズに適した保険を慎重に検討する必要があります。

事業中断に備える保険の保険料はどう決まる?

事業中断に備える保険の保険料は、業種(保険事故が起こるリスクの高さ)や立地、従業員数などのほか、契約で定める保険金額や補償日数、約定補償率、立地などによって決まります。

一般的には、保険事故が起きる可能性が高い業種やリスクの高い立地である方が、保険料が高くなります。また、従業員数が多い企業では固定費が高くなる傾向があるため、結果として補償額が高くなり、保険料も上昇することがあります。

さらに、補償日数が長かったり約定補償率が高かったりすれば算出される保険金額も高くなりやすくなります。そのため、保険料も高くなる傾向にあります。

ただし、具体的な保険料の算定方法は保険会社や保険商品ごとに異なるため、必ずしもこれらがすべて加味されるとは限りません。事業中断に備える保険は個別性の高い保険であるため、まずは保険プロに相談したうえで保険料の試算を受けることをお勧めします。

まとめ

事業中断によって企業に生じる主なリスクや事業中断に備えられる主な保険、事業中断リスクに保険で備えるメリットと注意点、事業中断リスクに備える保険の選び方などを解説しました。

火災や自然災害などによって事業が中断すると、本来であれば得られたはずの利益が得られなくなるうえ、早期復旧のための追加費用などの支出が生じます。事業の中断期間中も給与や賃料などの固定費の支払いは必要であるため、中断期間が長くなると資金繰りに甚大な影響が及ぶ可能性があるでしょう。場合によっては、事業の再開を諦めざるを得ないかもしれません。

このようなリスクへの備えとしては、休業補償保険や利益保険への加入が検討できます。これらはいずれも、火災や自然災害などにより事業の中断を余儀なくされた場合に、補償が受けられる保険です。

ただし、休業補償保険の保険金が一般的に事業中断日数に一定の固定額を乗じて算定されるのに対して、利益保険の保険金は実際の逸失利益額に一定の収益減少防止費用を加算して算出するのが一般的です。

ただし、具体的な制度設計や補償内容などは保険商品や契約内容などによって異なります。そのため、契約前に複数の保険を比較・検討して、自社のニーズに合った商品を選択するとよいでしょう。プロに相談をすることで、自社に合った保険を的確に選定しやすくなります。

ハレノヒハレは「未来すべて、ハレになれ。」をコンセプトに、お客様の未来を「ハレ」にするための法人保険コンサルティングを展開しています。事業中断リスクに保険への加入で備えたいとお考えの際や、自社に必要な補償について保険のプロからのアドバイスをご希望の際などには、ハレノヒハレまでお気軽にご相談ください(ご相談したいことがございましたら「お問い合わせ」フォームからご入力をお願いいたします)。ご相談はオンラインで、「どこでも・何度でも」可能です。

※本記事は一般的な制度の概要を解説するものであり、特定の保険商品の内容を示すものではありません。実際の補償内容や支払条件は各保険会社の商品・契約内容により異なります。