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労働力人口増加と出生率

2025.04.30
厚労省発表「日本の一日」


日本の人口減少に歯止めがかかりません。
厚生労働省が発表した人口動態統計(速報値)によると、2024年の出生数は72万988人で、統計を取り始めた1899年以来、過去最少となりました。

速報値には在日外国人や在外日本人が含まれるため、国内の日本人に限った出生数は70万人を下回る可能性が高いと見られています。

2023年に発表された将来推計人口(国立社会保障・人口問題研究所)では、出生数が72万人台になるのは2039年と予測されていたため、少子化の進行が15年も早まっていることになります。このまま出生数の低迷が続けば、国の年金財政を見通す「財政検証」で示された最も厳しい“低位推計”に近づく恐れがあります。
そうなれば、将来の年金・医療・介護などの社会保障制度の見直しが、さらに進む可能性も高まるでしょう。

出生数や人口が減少する一方で、労働力人口は増加しています。
総務省が1月に発表した労働力調査によると、2024年の就業者数は6781万人で、前年比34万人増でした。
4年連続の増加で過去最高の就業者数となりました。働く女性や高齢者の増加が、労働力人口の増加に寄与したと見られます。

労働力人口の増加は、税収の増加や社会保険料の負担者の増加につながり、社会保障制度を支える財源確保にとっては追い風と言えます。
ただし、この「労働力人口の増加」を手放しで喜ぶことはできません。
たとえば、女性の就労促進は経済面では歓迎されるものの、育児環境や保育サービスが十分に整備されていなければ、子どもを産み育てることへの不安や負担が高まり、かえって出生率の低下を招くリスクもあります。

出生数の回復には、経済環境の改善や世帯所得の向上に加え、待機児童や「小1の壁」の解消が鍵となりそうですが、人口問題は一朝一夕に解決するものではありません。

将来に向けて、できる備えをしっかりとしておく必要があるのではないでしょうか。

人口動態統計速報(令和6年(2024)12 月分)

労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)平均結果の要約