2026.09.25

デジタル遺産、家族は見つけられる?スマホ・ネット銀行・証券口座・サブスクの相続をわかりやすく解説

銀行口座や証券口座、日々の支払いまでスマートフォンひとつで完結する時代になりました。その一方で、本人が亡くなった後に「どこに、どんな財産や契約があるのかわからない」という新しい相続の問題も生まれています。

本人にとっては便利で当たり前になったスマートフォンでの管理が、いざというときには家族にとって「何も手がかりが残らない」状態を生み出してしまうこともあるのです。

今回は、ネット銀行やネット証券、暗号資産、電子マネー、ポイント、SNS、サブスクリプションなど、いわゆる「デジタル遺産」について、相続で困らないために知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。

ふだんは意識することが少なくても、これらはすべて相続の際に確認や手続きが必要になる可能性がある大切な財産・契約です。

ハレノヒハレは、保険や資産形成だけでなく、相続や老後など、ご家族のお金に関するさまざまなお悩みに寄り添いながら、将来に向けた準備を一緒に考えています。

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「デジタル遺産」とは?スマホの中にも相続の問題がある

デジタル遺産に明確な定義があるわけではない

「デジタル遺産」や「デジタル遺品」という言葉には、法律上の統一された定義があるわけではありません。

パソコンやスマートフォンが広く普及したことにともなって使われるようになった、比較的新しい呼び方といえます。

国民生活センターは「デジタル遺品」について、明確な定義はないとしたうえで、故人がネット上に保有していた資産のデータや、サブスクリプションを契約していた場合のアカウントなども含めて呼ばれていると説明しています。

【出典:国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』」】

たとえばネット銀行の預金は、紙の通帳がなくても財産であることに変わりありません。ネット証券の株式や投資信託、暗号資産なども、画面上に表示されているだけだから相続と関係がない、ということにはなりません。

普段は残高がスマートフォンの画面に表示されるだけであっても、法律上の財産としての性質は、店舗のある銀行の通帳や紙の証券と何ら変わりはないのです。

一方、動画や音楽配信などのサブスクリプションは、相続する「財産」というより、亡くなった後に確認や解約が必要になる契約です。

SNSのアカウントやクラウド上の写真など、お金に換算しにくくても家族にとって大切なデータもあります。「財産」ではないからといって何もしなくてよいわけではなく、放置すれば料金の請求が続いたり、大切な記録が失われたりする可能性がある点にも注意が必要です。

つまりデジタル遺産は、「相続する財産」だけでなく「亡くなった後に家族が対応しなければならない契約やデータ」まで広く捉えておく必要があります。

プラスの財産だけに目を向けるのではなく、対応が必要な事柄をまとめて洗い出す視点を持つことが大切です。

代表的なデジタル遺産には何がある?

身近なものだけでも、ネット銀行の預金、ネット証券の株式や投資信託、暗号資産、電子マネー、ポイントやマイルなどがあります。さらに、クレジットカード、動画・音楽配信サービス、クラウドストレージ、オンラインゲーム、ネットショップ、フリマアプリ、SNS、メール、写真や動画なども含まれます。

改めて数え上げてみると、思っている以上に多くのサービスを利用していることに気づく人も多いのではないでしょうか。

これらはスマートフォンの中にまとまっているように見えても、実際にはそれぞれ別の会社と契約しています。スマートフォンを解約したからといって、すべてのサービスが自動的に終了するとは限りません。

たとえば携帯電話会社を解約しても、ネット銀行や証券会社、サブスクリプションの契約はそれぞれの会社に残ったままになるため、一つひとつ個別に確認と手続きを行う必要があります。

なぜデジタル遺産は相続で問題になりやすい?

通帳や証券がないため家族が存在に気づけない

従来の相続では、自宅を整理すると銀行の通帳や証券会社からの郵便物などが見つかり、それを手掛かりに財産を調べられるケースが多くありました。つまり、紙の書類そのものが「気づくきっかけ」の役割を果たしていたのです。

ところが現在は通帳を発行しない銀行もあり、証券取引もインターネット上で完結します。利用明細や契約内容もアプリやメールで確認することが珍しくありません。

その結果、本人はきちんと管理していたつもりでも、家族からすると「どこの銀行を使っていたのか」「暗号資産があるのか」といったこと自体がわからない可能性があります。

国民生活センターも、パスワードがわからずネット上の資産やサブスク契約を把握できないといった問題について注意を呼びかけています。

【出典:国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』」】

見つからない財産は相続手続きにも影響する

国税庁は、相続税の対象となる財産について、現金、預貯金、有価証券、土地、家屋などのほか、「金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのもの」と説明しています。

この考え方に照らせば、暗号資産やネット証券の投資信託なども、当然この範囲に含まれることになります。

【出典:国税庁「No.4105 相続税がかかる財産」】

財産が紙で管理されているか、スマートフォン上で管理されているかという違いだけで、相続税の取り扱いが変わるわけではありません。

たとえ家族がその存在に気づかなかったとしても、法律上は変わらず相続税の課税対象になり得るということです。

相続税の申告が必要な場合、原則として死亡を知った日の翌日から10か月以内に申告・納税を行います。

相続財産を把握できていないと、遺産分割だけでなく申告にも影響しかねません。

財産の一部を把握しないまま申告してしまうと、後日あらためて申告や納税が必要になるケースも考えられます。

【出典:国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」】

「デジタルだから見つけにくい」ことと、「相続財産ではない」ことはまったく別の問題なのです。

財産だけでなく「毎月の支払い」が残ることもある

忘れてはいけないのが、サブスクリプションなどの継続契約です。動画・音楽配信、クラウドストレージ、アプリなど、月額数百円から数千円の契約を複数利用している人は珍しくありません。

気づかないままにしておくと、亡くなった後もクレジットカードなどから料金が引き落とされ続けてしまいます。

一つひとつは少額でも、家族が契約の存在を知らなければ対応が遅れてしまうことがあります。

デジタル終活では「いくら持っているか」だけでなく、「どこと契約し、どこに支払っているか」を整理することも重要です。

ネット銀行の預金はどうなる?

ネット銀行の預金も相続財産

店舗のある銀行の預金も、ネット銀行の預金も財産であることに違いはありません。国税庁によると、預貯金は原則として相続開始の日現在の預入残高などをもとに評価します。

ネット銀行だから相続財産から除かれることはありません。「画面の中にしかない財産だから対象外」と考えてしまうのは誤りです。

【出典:国税庁「相続税の申告要否判定コーナー・預貯金の評価方法」】

問題は、その口座を家族が見つけられるかどうかです。

紙の通帳がなければ、銀行からのメールや他口座との入出金履歴、カードの引落しなどが手掛かりになります。

本人が元気なうちに残高までは知らせなくても「○○銀行に口座がある」という情報だけ残しておくと、相続後の負担は大きく変わります。

なお、家族がIDやパスワードを知っていても自己判断で預金を動かすのではなく、金融機関に死亡の事実を連絡し、正式な相続手続きに従うことが基本です。

パスワードが分かるからといって、家族が代わりに預金を引き出したり解約したりすることは、後々のトラブルの原因になりかねません。

ネット証券の株や投資信託はどうなる?

株式や投資信託も相続財産になる

ネット証券で保有する株式や投資信託も、相続の対象となり得る財産です。

紙の書類がほとんどない場合、家族が口座の存在に気づけない可能性があります。

現在はスマートフォンだけで口座を開設し、積立投資まで設定できるため、家族が本人の資産形成を詳しく知らないケースも考えられます。

実際、投資信託の積立などは本人のスマートフォンの中だけで完結していることが多く、家族が想像している以上に資産形成が進んでいることもあります。

証券会社が判明したら連絡し、相続に必要な手続きを確認しましょう。

必要書類や移管方法は各社で異なるため、個別の確認が大切です。

NISAを利用していた場合も手続きが必要

NISA(少額投資非課税制度)の口座を開設していた人が死亡した場合、相続人は死亡を知った日以後遅滞なく、口座のある金融機関に「非課税口座開設者死亡届出書」を提出する必要があります。

【出典:国税庁「NISA口座の新規開設又は変更に関する手続等について」】

つまり、NISA口座をそのまま子どもが引き継いで運用を続けられるわけではありません。非課税の枠ごと引き継げるわけではなく、相続した株式や投資信託は相続人自身の課税口座(特定口座など)に移されるのが一般的です。

死亡時の取り扱いや相続後の受入れにはルールがあるため、利用していた金融機関に確認しながら進める必要があります。

暗号資産も相続できる?特に注意したいデジタル遺産

暗号資産も相続税の対象になり得る

ビットコインなどの暗号資産も、デジタル上にあるからといって相続と無関係にはなりません。

「実物がない」「通帳のようなものがない」という特殊性から誤解されがちですが、相続財産として扱われ、相続税の対象になり得るという点では、預金や株式などと同様に考える必要があります。

国税庁は、相続や贈与で取得した暗号資産について評価方法を示しており、活発な市場が存在する暗号資産は、原則として暗号資産交換業者が公表する課税時期の取引価格によって評価するとしています。

【出典:国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について」】

「インターネット上のものだから相続税はかからない」「現金化していないから財産ではない」とは考えられません。

秘密鍵などがわからずアクセスできない可能性もある

暗号資産で難しいのは、保管方法によって本人以外がアクセスできなくなる可能性があることです。

国内の交換業者を利用していれば死亡の事実を伝えて手続きを確認できますが、自らウォレットを管理している場合は、秘密鍵(暗号資産を送金・管理するためのパスワードのようなもの)やシードフレーズ(その秘密鍵を復元するための単語の並び)が分からなければ、家族であっても資産にアクセスできなくなってしまいます。

こうした情報を誰でも見られる場所にそのまま残すと、不正利用や盗難につながる危険もあります。

「家族が存在を知ることができる状態」と「第三者に盗まれない状態」の両方を考えた管理が必要です。金庫での保管や、信頼できる専門家に相談しながら方法を検討するのも一つの手です。

電子マネー・ポイント・マイルは相続できる?

サービスによって取り扱いは異なる

電子マネーやポイントは、「すべて相続できる」「すべて死亡時に失効する」と一律には考えられません。マイルも同様で、サービスごとの規約や死亡時の取り扱いを確認する必要があります。

運営会社によって考え方が大きく異なるため、まとめて判断せずに一つひとつ確認する姿勢が大切です。

たとえばANAマイレージクラブでは、会員が死亡した場合、所定の手続きにより法定相続人が有効なマイルを相続できます。ただし、死亡日から180日以内に必要書類がそろった状態での申請が必要です。

期限を過ぎてしまうと、せっかく貯めたマイルが失効してしまうため、早めの確認が欠かせません。

【出典:ANA「マイルの相続」】

JALマイレージバンクでも、会員が死亡した場合には、法定相続人が所定の手続きによって有効なマイルを相続できると案内されています。

【出典:JAL「マイルを相続することはできますか。」】

同じ「ポイント」「マイル」でも、相続や死亡時のルールはサービスによって異なります。反対に、規約によっては死亡と同時にすべて失効してしまうサービスもあるため、「相続できるはず」と思い込まないことも大切です。残高が大きいサービスについては、元気なうちに取り扱いを確認しておくと安心です。

SNS・メール・写真など「お金ではないデジタル遺産」はどうする?

家族にとって大切なのは金融資産だけではない

デジタル遺産はお金だけでなく、写真や動画、メール、SNSなども考えておきたいところです。

以前は家族写真がアルバムとして自宅に残っていましたが、現在は何年分もの写真や動画がスマートフォンやクラウドにしか保存されていないことも珍しくありません。

本人が亡くなり端末を開くことができなければ、大切な思い出にアクセスできなくなる可能性があります。

写真やメッセージは、家族にとってお金には代えられない大切な記録であることも少なくありません。

Appleには「故人アカウント管理連絡先」がある

Appleでは、自分が亡くなった後にApple Accountの特定データへアクセスできる人を、生前に「故人アカウント管理連絡先」として指定できます。

対象となるデータは写真、メッセージ、メモ、ファイル、デバイスのバックアップなどです。

一方、購入した映画や音楽、サブスクリプション、iCloudキーチェーンのパスワードや支払い情報などはアクセスできません。

日本で故人のデータへのアクセスを申請する際には、故人アカウント管理連絡先の設定時に生成されるアクセスキーに加え、アカウント所有者の死亡の記載がある戸籍謄本などが必要とされています。

【出典:Apple「Apple Accountの故人アカウント管理連絡先を追加する方法」】

Googleにも亡くなった後を想定した機能がある

Googleの「アカウント無効化管理ツール」は一定期間アカウントを利用しなくなった場合、あらかじめ指定した人へ通知したり、選択したデータを共有したりできる仕組みです。データを受け取る相手は最大10人まで指定でき共有するデータの種類も選べます。

【出典:Google「アカウント無効化管理ツールについて」】

こうした機能を元気なうちに設定しておけば、家族が亡くなった後にゼロから方法を探すよりも、大切なデータを引き継ぎやすくなります。

「故人アカウント管理連絡先」も「アカウント無効化管理ツール」も、生前に本人が設定しておかなければ利用できない仕組みである点には注意が必要です。

家族が亡くなったらデジタル遺産をどう探す?

まずは「手掛かり」を集める

どのようなデジタル遺産があるかわからない場合、いきなりスマートフォンの中を片っ端から調べようとするより、まずは手掛かりを整理することが大切です。

自宅の郵便物や確定申告書、銀行の取引履歴、クレジットカードの利用明細などを確認すると、ネット銀行や証券会社、サブスクリプションの存在がわかることがあります。

ただし、本人のIDやパスワードがわかったからといって、家族が自由に資産を売却・送金してよいとは限りません。

財産や契約の存在を把握したら、金融機関やサービス提供会社が定めている正式な手続きを確認することが大切です。

相続放棄を考えている場合は特に慎重に

亡くなった人に借金があるなど相続放棄を検討している場合には、財産を見つけた後の対応にも注意が必要です。プラスの財産よりも借金などマイナスの財産が多いと分かれば、相続放棄によって返済の義務を負わずに済むこともあります。

相続放棄は、原則として自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。

判断するための資料が得られない場合には、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てる制度もあります。

【出典:裁判所「相続の放棄の申述」】

相続放棄を検討している段階で、故人のデジタル資産を自己判断で売却・処分すると、法的な問題につながる可能性があります。財産の一部を処分する行為は、法律上「相続を承認した」とみなされ、後から相続放棄ができなくなってしまうことがあるためです。判断に迷う場合には、弁護士などの専門家へ相談してから対応することが大切です。

自分のデジタル遺産で家族を困らせないためにできること

まず「どこに何があるか」を一覧にする

デジタル終活というと「全部のパスワードを書き残さなければならない」と考えがちですが、最初からそこまで行う必要はありません。まず大切なのは、家族が「財産や契約の存在を発見できる状態」をつくることです。パスワードそのものではなく、「どこに何があるか」という地図を残しておくイメージです。

「銀行:○○銀行、△△銀行」「証券:○○証券」「暗号資産:○○交換業者」「マイル:ANA」「クラウド:iCloud」といったように、利用しているサービス名だけを一覧にしておくだけでも大きな違いがあります。残高は日々変わるため、毎月更新する必要はありません。

「どこを調べればよいのか」が家族にわかることが重要です。

ただし、ID・パスワードや秘密鍵などを一枚の紙にすべて記載して、誰でも見られる場所に置いておくのは安全とはいえません。

「サービス名を家族に伝える情報」と「本人しか利用すべきでない認証情報」は分けて管理しましょう。

エンディングノートも、遺言のような法的効力はありませんが、家族へのメッセージや大切な情報を書き残しておくためのノートです。書店や文具店で市販されているものもあれば、無料でダウンロードできる書式もあり、堅苦しく考えずに始められます。

財産の金額やパスワードをすべて記載することが目的ではなく、「○○銀行に口座がある」「重要な書類は自宅の○○に保管している」など、家族が次の行動を取れる程度の情報を残しておく方法もあります。

「資産一覧」と一緒に「契約一覧」も作る

資産一覧だけでは不十分です。

銀行や証券、保険、不動産などの「持っている財産」と一緒に、クレジットカード、携帯電話、動画・音楽配信、クラウドストレージなどの「継続している契約」も整理しておくと、残された家族が対応しやすくなります。

特に毎月自動的に料金が発生するサービスは、本人以外が契約の存在を知らないケースもあります。年に一度程度、クレジットカードや銀行口座の明細を見ながら、自分が何にお金を払っているのか確認することは、デジタル終活だけでなく家計管理にも役立ちます。使っていないサービスに気づくきっかけにもなり、一石二鳥といえるでしょう。

親のデジタル遺産について、元気なうちに聞いておきたいこと

「財産はいくらある?」から聞かなくてもよい

親の相続について準備した方がよいとわかっていても、子どもから「貯金はいくらあるの?」とは聞きにくいものです。そのような場合は、金額ではなく「どこを利用しているか」から確認してみる方法があります。

「ネット銀行って使っている?」「NISAはどこの証券会社でやっているの?」「保険証券はどこに置いてある?」

といった会話であれば、具体的な財産額を聞かなくても、いざというときに必要となる情報を少しずつ共有できます。

大切なのは、親の財産を子どもが管理することではなく、親に何かあったとき家族が「何があるのかわからない」状態にならないようにしておくことです。

生命保険も家族が存在を知らなければ請求が難しい

これはデジタル資産だけの話ではありません。

生命保険についても契約内容の電子化が進んでおり、本人がどこの保険会社と契約しているのか家族が知らなければ、死亡後の手続きで確認に時間がかかることがあります。せっかく保険に加入していても、家族がその存在に気づかなければ、保険金を請求すること自体ができません。

銀行、証券、暗号資産だけでなく、生命保険、損害保険、不動産、借入れなども含め、「自分に何かあったら、まずこの一覧を確認してほしい」という情報をまとめておくことが大切です。

プラスの財産だけでなく、借入れなどマイナスの財産も含めて把握できるようにしておくと、相続するかどうかの判断もしやすくなります。

相続対策というと「相続税をどう減らすか」に目が向きがちですが、残された家族が財産をきちんと発見し、必要な手続きをできるようにしておくことも、重要な相続対策のひとつといえるでしょう。

デジタル遺産についてよくある質問

ここでは、デジタル遺産についてよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。細かい制度の話に入る前に、まず気になる点だけでも押さえておきましょう。

Q. ネット銀行の預金も相続税の対象になりますか?

ネット銀行であっても預金であることに変わりはなく、相続税を計算する際には相続財産として考える必要があります。銀行が「ネット専業」であることと、相続税の課税対象になるかどうかは、まったく別の問題だと考えておきましょう。実際に相続税がかかるかどうかは、その他の財産や債務なども含めて判断します。

Q. 故人のスマホのパスワードがわかれば、自由に操作してもよいですか?

パスワードを知っていることと、財産を自由に操作できることは別の問題です。悪意がなくても、正式な手続きを経ずに資産を動かしてしまうと、後から他の相続人との間でトラブルになることもあります。

特に銀行、証券、暗号資産については、本人になり代わって送金や売却をするのではなく、金融機関やサービス提供会社に死亡の事実を伝え、正式な相続手続きを確認しましょう。

Q. サブスクはクレジットカードを止めれば全部解約されますか?

クレジットカードから料金が支払われなくなったことと、サービスとの契約自体が終了したことは必ずしも同じではありません。支払いが止まったことで延滞扱いとなり、督促の連絡が続いてしまうケースも考えられます。

利用しているサービスが判明した場合には、それぞれの事業者に死亡時の取り扱いや解約方法を確認することが大切です。

Q. 暗号資産も相続税の対象ですか?

暗号資産についても相続によって取得した場合の評価方法が国税庁から示されています。価格の変動が大きい資産であるため、いつの時点の評価額を用いるかによって税額も変わってくる点に注意が必要です。

保有している場合には、相続財産としての評価や税務上の取り扱いについて確認する必要があります。

Q. デジタル遺産の一覧にはパスワードも書いておくべきですか?

必ずしも、すべてのパスワードを一覧にして残す必要はありません。むしろ、重要なパスワードや秘密鍵を無防備にまとめておくことにはセキュリティ上のリスクがあります。一覧を作ること自体が目的化してしまい、管理が甘くなってしまっては本末転倒です。

まずは「どこに何があるのか」を家族が把握できるようにし、認証情報については安全性を考えながら別途管理することが大切です。

まとめ|「いくらあるか」だけでなく「どこにあるか」を家族に残しておこう

スマートフォンやインターネットによって、私たちのお金の管理は大きく変わりました。銀行や証券会社の店舗に行かなくても、紙の明細を一枚も持たずに多くのサービスを利用できる時代です。

ここまで見てきたように、その便利さは、いざというときの「気づきにくさ」と表裏一体でもあります。

便利になった一方で、本人にしかわからない財産や契約が増えていることも事実です。

デジタル遺産への備えとして大切なのは、すべてのパスワードを家族に教えておくことではありません。

ネット銀行、証券会社、暗号資産、生命保険、クレジットカード、サブスクリプションなど、「自分がどこに財産を持ち、どこと契約しているのか」を家族が発見できるようにしておくことが第一歩です。

そして、これは高齢になってからだけ考えればよい問題でもありません。

30代や40代であっても、ネット銀行やNISA、クレジットカード、各種サブスクリプションなどを利用していれば、すでに多くのデジタル情報を持っています。

相続対策というと、遺言や相続税、生命保険などに注目しがちですが、その前提となるのは「どんな財産が、どこにあるのか」がわかることです。

一度、家族で「もしものとき、どこを見ればわかるようにしておく?」と話してみてはいかがでしょうか。改まった話にしなくても、ちょっとした雑談のきっかけで構いません。それだけでも、将来の相続で家族が困る可能性を減らす大切な準備になります。

ハレノヒハレでは、生命保険や資産形成だけでなく、相続や老後のお金など、ご家族を取り巻くさまざまなお金の問題について一緒に整理し、各々のご家庭に合った準備を考えるお手伝いをしています。

「相続について何から準備すればよいかわからない」「自分の財産を一度整理しておきたい」といった相談したい方は、どうぞお気軽にハレノヒハレまでご相談ください。(ご相談は「お問い合わせ」フォームからご入力をお願いいたします)