【道交法改正】自動車が自転車の追い越しで注意すべきことは?会社が取るべき対策を解説
道交法が改正され、自動車が自転車を追い越す際のルールが新設されました。この改正は、2026年4月に施行される予定です。
では、改正により、自動車が自転車を追い越す際のルールはどのように定められたのでしょうか?また、この他に道交法はどのような改正がされたのでしょうか?
今回は、道交法改正によって新設された自動車が自転車を追い越す際のルールの概要や道交法のその他の改正ポイント、自動車による自転車追い越しルールに違反した場合の罰則、従業員が改正道交法に違反しないために企業が講じるべき対策などについてくわしく解説します。
ハレノヒハレは「未来すべて、ハレになれ。」をコンセプトに、お客様の未来を「ハレ」にする法人保険コンサルティングを行っています。道交法の改正に保険で備えたいとお考えの際や、自社に必要な保険についてプロからのアドバイスをご希望の際などには、ハレノヒハレまでお気軽にご相談ください(ご相談したいことがございましたら「お問い合わせ」フォームからご入力をお願いいたします)。
【改正】自動車が自転車を追い越す際に注意すべきルールは?
冒頭で触れたように、道路交通法(通称「道交法」)が改正され、自動車が自転車を追い越す際のルールが新設されました。この改正は、2026年4月1日に施行される予定です。
はじめに、自動車による自転車追い越しルールの概要を、自動車側と自転車側の視点でそれぞれ解説します。
参照元:道路交通法の一部を改正する法律の施行について(令和8年4月1日施行) – 群馬県警 – 群馬県ホームページ(県警本部)
自動車側
自動車は、自転車などとの間隔に応じた安全な速度で進行しなければなりません。
これは、2026年4月1日に施行される予定の改正道路交通法において新たに設けられた規定です(改正道交法18条3項)。
改正条文では、次のように定められています。
車両(特定小型原動機付自転車等を除く。)は、当該車両と同一の方向に進行している特定小型原動機付自転車等(歩道又は自転車道を通行しているものを除く。)の右側を通過する場合(当該特定小型原動機付自転車等を追い越す場合を除く。)において、当該車両と当該特定小型原動機付自転車等との間に十分な間隔がないときは、当該特定小型原動機付自転車等との間隔に応じた安全な速度で進行しなければならない。
ここでいう「特定小型原動機付自転車等」とは、特定小型原動機付自転車と軽車両を指します(同18条1項)。
自転車は、この「軽車両」に含まれます(同2条1項11号)。
条文には「追い越す場合を除く」との記載がありますが、道路交通法上の「追い越し」は、車線変更を伴う行為を指します。
一方、車線変更をせずに同一車線内で前方の車両を先行して通過する行為は、法律上「追い抜き」と整理されます。
そのため、例えば片側2車線道路において、自転車が左側車線を走行しており、自動車が右車線へ車線変更して自転車を先行する場合は、「追い越し」に該当し、この条文の直接の対象にはなりません。
これに対し、車線変更を伴わずに自転車の右側を通過する場合(いわゆる追い抜き)が、この規定の対象となります。
なお、日常的には「追い越し」と「追い抜き」が区別されずに使われることが多いため、この記事では特段の断りがない限り、一般的な意味合いとして「追い越し」という表現を用いています。
これらを踏まえて条文の内容を平たく言い換えると、
「自動車が、同じ方向に進んでいる自転車の右側を通過する際、自転車との間に十分な間隔を確保できない場合には、その間隔に応じてスピードを落として走行する必要がある」
という趣旨になります。
自転車側
自転車を含む特定小型原動機付自転車等は、追い抜かれる際、できる限り道路の左側端に寄って通行しなければなりません(改正道交法18条4項)。従業員が業務で自転車を使う場合、この点にも注意しておくべきでしょう。
自動車の自転車追い越しルールが改正された背景
自動車の自転車追い越しルールが改正された背景には、自転車が関わる側方接触事故が多発している状況があります。
自転車のユーザーが増加している反面、自動車の走行を前提とした道路整備が十分にされているとは言い難いでしょう。その結果、歩道を走行できない自転車は自転車道が整備されていない道路の端を走るほかなく、接触事故が多発しています。
このような状況を受け、自動車と自転車との接触事故を減らすために改正されました。
なお、自動車と自転車との接触事故は必ずしも自動車側の危険な追い抜きだけが原因ではなく、自転車側が「ながらスマホ」や酒気帯び運転などの危険な運転をしていることによる場合もあるでしょう。
そのため、今回の改正では、自転車への青切符制度導入も同時に行われています。これについては、後ほど改めて解説します。
自転車の追い越しルールに違反するとどうなる?:自動車側
自転車の追い越しルールに違反すると、どうなるのでしょうか?ここでは、自動車が違反した場合の罰則などを解説します。
- 反則金の納付が必要となる
- 刑事罰が適用される
- 違反点数がつく
反則金の納付が必要となる
自動車が自転車の追い越しルールに違反すると、反則金の納付が必要となる可能性があります。反則金額や違反点数、罰則は、今後の正式な運用・公表資料により整理されますが、少なくとも公表資料上は、普通車で反則金7,000円、違反点数2点、3月以上の拘禁刑又は5万円以下の罰金といった整理が示されています(最新の公表資料をご確認ください)
違反点数がつく
自動車が自転車の追い越しルールに違反した場合、違反点数がつく可能性があります。
自動車に追い越されるルールに違反するとどうなる?:自転車側
- 自動車に「追い越される」際のルールに違反した場合、自転車側にも罰則が適用される可能性があります。
反則金の納付が必要となる
この度の改正により、自転車にも青切符制度が導入されました。そのため、自動車に「追い越される」際のルールに違反した場合、原則としてまずは反則金の対象となる可能性があります。公表資料上は反則金5,000円といった整理も示されています(最新の公表資料をご確認ください)。
自動車の自転車追い越しルールの課題
自動車による自転車の追い越しルールについては、現時点では「実際にどのように対応すればよいのか」が必ずしも明確になっていない点が課題といえます。特に、道路幅が狭い生活道路や、黄色の実線のセンターラインが設けられている道路においては、対応に迷う場面もあります。
たとえば、十分な道幅があり、自転車との間に十分な間隔を確保して追い越すことができる道路であれば、実務上の問題は生じにくいでしょう。一方で、そもそも道路幅が狭い場合には、自転車と十分な間隔を確保すること自体が困難です。
また、原則として、黄色の実線センターラインをはみ出して追い越すことはできず、自転車を追い越す場合であっても、特段の例外が明示されているわけではありません。
このような状況で、自転車との間に十分な間隔を確保できない場合には、「安全な速度」で追い越すことが求められるとされています。この「安全な速度」は、周囲の状況によっては大幅な減速が求められる場面もあると考えられますが、具体的な速度については一律に示されているわけではありません。
その結果、自動車が自転車を適法に追い越すことができない状態が長く続き、交通の流れが滞るおそれも指摘されています。
このような疑問や混乱が生じている背景には、「十分な間隔」とは具体的にどの程度を指すのか、また、自転車との間隔に応じた「安全な速度」がどの程度なのかといった点が、現時点では明確に示されていないことがあります。
今後、これらの基準や考え方がより具体的に整理・明確化されていくことで、実務上の対応も分かりやすくなることが期待されます。そのため、引き続き、国や警察などから示される最新の情報や運用の動向に注意を払うことが重要です。
2026年の道交法のその他の改正内容
自動車による自転車の追い越しルールのほかにも、道交法はさまざまな改正がされています。ここでは、2026年に施行される道交法のその他の主な改正内容の概要を解説します。
- 自転車に青切符制度が導入された
- 「生活道路」の法定速度が変わった
- 普通仮免許などの年齢要件が引き下げられた
自転車に青切符制度が導入された
改正により、自転車に青切符制度が新たに導入されました。青切符とは、交通反則通告制度に基づいて発行される「交通反則告知書」の通称名です。
自転車で道交法に違反した場合、これまでは青切符制度がなかったため、罰則を適用するには刑事裁判により有罪判決を得るほかありませんでした。有罪となればいわゆる「前科」がつく「重い」手続きしか選択肢がなかったため、軽微な違反であれば口頭注意で済まされてきた状況にあります。
今後は、青切符の導入により検挙後の手続きが簡易迅速化され、自動車のようにより実効性のある違反処理が可能となります。自転車についても、これまでより実効性のある取り締まりが行われるようになると考えられます。
自転車に科される主な反則金は、次のとおりです。(※いずれも現時点で公表されている案・報道等に基づくものであり、今後変更される可能性があります)。
- 信号無視:6,000円(点滅信号の場合、5,000円)
- 一時不停止:5,000円
- 右側通行:6,000円
- 携帯電話使用等(保持):12,000円
- 遮断踏切立入り:7,000円
- 制動装置(ブレーキ)不良:5,000円
なお、青切符導入により刑事裁判にかけられる可能性(いわゆる「赤切符」)がなくなったわけではありません。酒酔い運転や酒気帯び運転、携帯電話使用等(交通の危険)など重大な違反がある場合には、従前どおり刑事手続により検挙されることとなります。
この改正は、2026年4月1日に施行される予定です。
「生活道路」の法定速度が変わった
道交法の改正により、いわゆる「生活道路」の法定速度が変わりました。この生活道路とは、次の要件をすべて満たす道路を指します。
- 速度標識がない
- センターラインや中央分離帯がない
- 道幅5.5メートル未満
このような道路はこれまで、速度標識がないその他の道路と同じく60km/hが制限速度とされていました。改正後は、生活道路の制限速度が30km/hへと引き下げられます。
これは、自動車の速度が30km/hを超えた場合、歩行者と衝突した際の致死率が急激に上昇するとのデータを受けてなされた改正です。
この改正は、2026年9月1日に施行される予定です。
普通仮免許などの年齢要件が引き下げられた
仮免許の取得可能年齢と運転免許試験の受験可能年齢は、これまで18歳とされていました。改正後は、これらがいずれも17歳6か月へと引き下げられます。
これは、いわゆる「早生まれ」の人であっても、高校を卒業するまでに普通自動車免許が受けられるようにとの配慮による改正です。なお、18歳になる前に運転免許試験に合格したとしても、運転免許が交付されるのは18歳になった時点です。「18歳になってすぐに免許が受けられるよう、事前に準備を始められるようになった」ということです。
この改正は、2026年4月1日に施行される予定です。
従業員が自転車の追い越しルールに違反した場合に企業に生じ得る影響
業務上、従業員が自動車を使用することがある企業は少なくないでしょう。業務中に万が一従業員が交通ルールに違反したり事故を起こしたりすれば、使用者である企業にも影響が及ぶ可能性があります。
ここでは、従業員が自転車の追い越しルールに違反した場合に、企業に生じ得る主な影響について解説します。
- 企業のイメージが低下する
- 事故が起きて賠償責任を負う
企業のイメージが低下する
近年では、交通違反の様子などがSNSなどに投稿されたうえ、リポストなどの機能によって「拡散」されることがあります。このようなSNSへの投稿によって自社の信用が失墜した場合には、投稿内容や状況によっては、投稿者に法的責任が問われる可能性もあります。
とはいえ、従業員が社名の入った自動車で自転車の追い越しルールに違反するなど従業員が危険な運転をする様子がSNSなどで拡散されれば、自社の信頼失墜につながるおそれがあるでしょう。
事故が起きて賠償責任を負う
そもそも、自動車による自転車の追い越しルールが改正された背景には、事故を防ぐ目的があります。従業員がこのルールに違反して万が一自転車に接触するなどの事故を起こした場合、事故を起こした従業員と連帯して、使用者である会社が賠償責任を負う可能性があります。なぜなら、会社には使用者責任があるためです(民法715条1項)。
使用者責任とは、従業員が事業の執行に関して第三者に損害を与えた場合、使用者がその損害を賠償する責任です。この使用者責任により、従業員が業務遂行中に道交法に違反して交通事故を起こした場合、企業はその事故を起こした従業員と連帯して被害者に損害賠償をする責任を負う可能性があります。
自動車の自転車追い越しルール改正について会社が講じるべき対策
自動車による自転車追い越しルールが改正されたことで、会社はどのような対策を講じればよいのでしょうか?ここでは、会社が講じるべき主な対策を4つ解説します。
- 役員が改正内容を正しく理解する
- 社内規程やマニュアルを見直す
- 従業員研修を実施する
- 保険を見直す
役員が改正内容を正しく理解する
1つ目は、役員などの経営陣が改正内容を正しく理解することです。経営陣が改正内容を正しく理解することで、自社で講じるべき対策を的確に検討しやすくなるでしょう。
社内規程やマニュアルを見直す
2つ目は、社内規程やマニュアルを見直すことです。
社用車の使用について、規程やマニュアルを定めている企業は少なくないでしょう。これらを改めて確認し、改正後の道交法との間に矛盾がある場合はこれを見直す必要があります。
また、従業員による交通違反を避けるため、運送業など自動車を頻繁に使用する企業では無事故・無違反を表彰する制度を設け、安全運転へのモチベーションを高める工夫も検討するとよいでしょう。
従業員研修を実施する
3つ目は、従業員研修を実施することです。
法改正に常にアンテナを張っている人は、さほど多くありません。そのため、従業員が道交法が改正されたことを知らなかったり、改正されたことは「何となく」知っていても具体的な内容までは理解していなかったりする可能性も高いでしょう。
法律は、「改正を知らなかった」からといって免責されるものではありません。従業員研修を実施して改正内容を周知することで、改正を知らずに自動車の自転車追い越しルールに違反するリスクを引き下げやすくなります。
保険を見直す
4つ目は、保険を見直すことです。
先ほど解説したように、従業員が自動車による自転車追い越しルールに違反して事故を起こした場合、企業が賠償責任を負う可能性があります。これに備えて、現在自社で加入している自動車保険の補償内容が十分であるかどうかこれを機に見直しておくことをお勧めします。
保険の見直しは、専門家に相談することで、現在の補償内容を整理し、リスクに対する備えを検討しやすくなります。
ハレノヒハレは「未来すべて、ハレになれ。」をコンセプトに、お客様の未来を「ハレ」にするための法人保険コンサルティングを実施しています。道交法の改正に保険で備えたいとお考えの際や、自社に必要な保険についてプロからのアドバイスをご希望の際などには、ハレノヒハレまでお気軽にご相談ください(ご相談したいことがございましたら「お問い合わせ」フォームからご入力をお願いいたします)。
自動車による自転車追い越しに関するよくある質問
最後に、自動車による自転車追い越しに関するよくある質問とその回答を紹介します。
自動車が自転車を追い越す際にセンターラインをはみ出してもよい?
原則として、黄色の実線のセンターラインをはみ出して追い越しをすることはできず、自転車を追い越す場合であっても、特段の例外が明示されているわけではありません。
しかし、「自転車を追い越す際に十分な距離をあけつつ黄色のセンターラインを越えないこと」は困難であり、このルールを徹底しようとすれば黄色のセンターラインが続く限り一定速度以上の自転車を追い越せないこととなってしまうでしょう。
引き続き、国や警察などから示される最新の情報や運用の動向に注意を払うことが重要です。
自動車が自転車の追い越しルールに違反するとどうなる?
自動車が自転車の追い越しルールに違反すると、反則金納付の対象となるほか、一定の違反点数が付されます。
まとめ
自動車による自転車追い越しルールについて、改正の概要や違反した場合の罰則、企業が講じるべき対策などを解説しました。
道交法が改正され、自動車による自転車の追い越しルールが2026年4月1日から施行される予定です。改正後は、自動車が自転車を追い抜く場合に十分な車間距離をとったうえで、必要に応じてスピードを落とさなければなりません。
改正法にうっかり違反する事態を避けるため、まずは経営陣が改正内容を正しく理解したうえで、従業員研修などで社内に周知しておきましょう。万が一従業員が道交法に違反すれば警察に足止めされて業務が停滞したり企業イメージの低下につながったりするおそれがあります。
また、万が一自動車で自転車を追い越す際に接触するなどして事故を起こせば、事故を起こした従業員と連帯して企業が責任を負う可能性も生じます。このような事態に備え、保険の内容が十分であるかこれをきっかけに見直すことも検討するとよいでしょう。
ハレノヒハレは「未来すべて、ハレになれ。」をコンセプトに、お客様の理想の未来を叶えるための法人保険コンサルティングを提供しています。ご相談はオンラインで、「どこでも・何度でも」可能です。
道交法改正に保険で備えたいとお考えの際や、自社に必要な保険についてプロからのアドバイスをご希望の際などには、ハレノヒハレまでお気軽にご相談ください(ご相談したいことがございましたら「お問い合わせ」フォームからご入力をお願いいたします)。

