退職金の税金はいくらかかる?計算方法・早見表・確定申告を解説
退職金は、老後の生活の「虎の子」となる資金です。しかし、退職金は非課税ではなく、一定の税金がかかります。そのため、退職金を想定した老後の生活設計をする際には、税金による「目減り」も考慮しなければなりません。
では、退職金にかかる税金は、いくらなのでしょうか?また、退職金にかかる税金は、どのように計算すればよいのでしょうか?今回は、退職金にかかる税金の計算方法やモデルケースを元に計算した退職金にかかる税金の額、退職金の税金で損をしないポイントなどについてくわしく解説します。
ハレノヒハレは「未来すべて、ハレになれ。」をコンセプトに、お客様の理想の未来につながる資産形成や保険の見直しなどのサポートをしています。退職金にかかる税金や退職後の生活設計に不安がある際は、ハレノヒハレまでお気軽にご相談ください(ご相談したいことがございましたら「お問い合わせ」フォームからご入力をお願いいたします)。
▼この記事のポイント
- 退職金は、所得税や復興特別所得税、住民税の課税対象となる
- 退職金の控除額は、勤続年数によって変動する
- 退職金を年金として受け取る場合、「雑所得」として公的年金等控除の対象となる
- 退職金にかかる税金で損をしないためには、退職金にかかる税金の計算方法を正しく理解してシミュレーションするのがポイント
退職金にかかる税金の種類は?
退職金を一時金で受け取る場合、次の税金がかかります。
- 所得税
- 復興特別所得税
- 住民税
それぞれの税金について、概要を解説します。
所得税
所得税とは、個人の1年間(1月1日から12月31日)の所得にかかる国税です。所得税の課税対象となる個人の所得は「給与所得」や「一時所得」など10に区分されており、そのうちの1つに「退職所得」があります。
退職所得は給与所得など他の所得と合算されず、分離して課税されます。そのため、退職金を受け取った年に受け取った給与の多寡は、退職金にかかる税金には影響しません。
参照元:所得税のしくみ(国税庁)
復興特別所得税
復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興に充てる財源の確保を目的として、令和29年(つまり、2047年)までの間、時限的に設けられている特別税です。復興特別所得税はその年の基準所得税額に2.1%を乗じることで算出され、退職所得にも課税されます。
なお、2027年分以降は、復興特別所得税の税率が2.1%から1.1%に引き下げられるとともに、新たに「防衛特別所得税」(基準所得税額の1%)が創設されます。所得税に上乗せされる合計税率は2.1%で変わりません。
住民税
住民税は、「市区町村民税」と「都道府県民税」を合わせた総称です。退職所得には、10%(市区町村民税6%、都道府県民税4%)がかかります。
退職金に税金がかからないのはいくらまで?【勤続年数別・早見表】
退職金には、独自の「所得控除」が設定されています。受け取った退職一時金額がこの所得控除額以下であれば、退職金に税金はかかりません。
ここでは、退職金の非課税ラインを一覧で紹介するとともに、自分の退職金に税金がかかるかどうかを判定する方法を解説します。
勤続年数別の退職所得控除額(非課税ライン)一覧
退職所得控除額は、勤続年数によって変動します。勤続年数別の退職所得控除額(つまり、退職金の非課税ライン)は、次のとおりです。
| 勤続年数 | 退職所得控除額(非課税ライン) |
|---|---|
| 5年 | 200万円 |
| 10年 | 400万円 |
| 15年 | 600万円 |
| 20年 | 800万円 |
| 25年 | 1,150万円 |
| 30年 | 1,500万円 |
| 35年 | 1,850万円 |
| 40年 | 2,200万円 |
受け取った退職一時金の額が退職所得控除額を超えない場合には、退職金に対して税金はかかりません。
参照元:
自分の退職金に税金がかかるかを判定する方法
自分の退職金に税金がかかるかどうかが知りたい場合は、勤続年数に応じた「退職所得控除額」を確認するとよいでしょう。退職一時金の額が勤続年数に応じた退職所得控除額以下であれば、退職金に税金はかかりません。
なお、先ほど紹介した表の勤続年数は5年刻みとしていますが、実際には1年単位で算定します。退職所得控除額の詳細な計算方法は、次で解説します。
退職金にかかる税金を計算する流れ【5ステップ】
退職金にかかる税金は、次の5ステップで計算できます。
- STEP1:退職金の額と勤続年数を把握する
- STEP2:退職所得控除額を計算する
- STEP3:課税退職所得金額を計算する(原則1/2課税)
- STEP4:所得税額・復興特別所得税額を計算する
- STEP5:住民税額を計算する
参照元:退職金と税(国税庁)
STEP1:退職金の額と勤続年数を把握する
はじめに、受給予定の退職金の額と、勤続年数を確認します。
勤続年数が分からない場合は、入社時に受け取った書類などを確認するほか、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」などから厚生年金の加入記録を確認するとよいでしょう。
STEP2:退職所得控除額を計算する
勤続年数に応じて、退職所得控除額を計算します。
退職所得控除額を計算する際、勤続年数の1年未満の端数は切り上げて計算します。たとえば、勤続年数が38年と1か月である場合、「勤続年数39年」として退職所得控除額を計算できるということです。
退職所得控除額の計算式は、勤続年数が20年以下か20年超かによって異なっており、それぞれ次のとおりです。
| 勤続年数 | 退職所得控除額の計算式 |
|---|---|
| 20年以下の場合 | 40万円×勤続年数 ※計算額が80万円未満の場合は80万円 |
| 20年超の場合 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
STEP3:課税退職所得金額を計算する(原則1/2課税)
次に、課税退職所得金額を計算します。課税退職所得金額の計算方法は、原則として次のとおりです。
- 課税退職所得金額=(退職金の額-退職所得控除額)×1/2
ただし、「役員等勤続年数が5年以下である者が支払を受ける退職金のうち、その役員等勤続年数に対応する退職金として支払を受けるもの」については、例外的に「1/2」はされません。
また、「役員等以外の勤続年数が5年以下である者が支払を受ける退職金のうち、その役員等以外の勤続年数に対応する退職金として支払を受けるもの」については、次の1と2の合計額が課税退職所得金額となります。
- 150万円
- 退職金-(300万円+退職所得控除額)
なお、退職金の額から退職所得控除額を差し引いた 残額が300万円以下である場合は、原則どおり「(退職金の額-退職所得控除額)×1/2」で計算します。
STEP4:所得税額・復興特別所得税額を計算する
次に、所得税額と復興特別所得税額を計算します。まず、所得税額は「課税退職所得金額」を次の表に当てはめて算定します。
| A 課税退職所得金額 | B 税率 | C 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000円から1,949,000円まで | 5% | 0円 |
| 1,950,000円から3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
| 3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
| 6,950,000円から8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
| 9,000,000円から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
| 18,000,000円から39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
| 40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
参照元:退職金と税(国税庁)
たとえば、課税退職所得金額が500万円である場合、退職金にかかる所得税額は次のとおりとなります。
- 退職金にかかる所得税額=500万円×20%-427,500円=572,500円
これに2.1%を乗じて、復興特別所得税の額を計算します。
- 復興特別所得税の額=572,500円×2.1%=12,022.5円→(1円未満切捨)12,022円
STEP5:住民税額を計算する
続いて、住民税を計算します。住民税の額は厳密には市区町村民税6%と都道府県民税4%ですが、試算であれば、簡易的に10%として計算すればよいでしょう。
課税退職所得金額が500万円である場合の住民税の額は、次のとおりです。
- 住民税の額=500万円×10%=50万円
【必須】「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出する
退職金を受け取る場合、会社所定の期限までに「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出するのを忘れないようご注意ください。
これを提出しなければ、退職金から源泉徴収される額が一律20.42%(所得税・復興特別所得税)で計算され、手取り額が減ってしまいます。払い過ぎた税金を取り戻すためには、確定申告をしなければなりません。
勤続5年以下は計算方法が変わる(短期退職手当等・特定役員退職手当等)
役員等以外で勤続年数が5年以下である場合の退職金は「短期退職手当等」、役員等で役員等勤続年数が5年以下である場合の退職金は「特定役員退職手当等」と呼ばれ、いずれも税金の計算方法が変わります。
短期退職手当等の場合、「収入金額から退職所得控除額を控除した残額」のうち300万円を超える部分については「2分の1課税」が適用されないため、ご注意ください。なお、特定役員退職手当等の場合は、残額の全額について「2分の1課税」が適用されません。計算例については、次で改めて解説します。
【ケース別】退職金にかかる税金はいくら?
退職金にかかる税金は、退職金の額や勤続年数などによって変動します。ここでは、6つのケースについて退職金にかかる税金の計算例を紹介します。
勤続40年の人が退職金を2,000万円受け取る場合
勤続40年の人が退職金を2,000万円受け取る場合、税金の計算方法は次のとおりです。
- 退職所得控除額:800万円+70万円×(40年-20年)=2,200万円
- 退職金と退職所得控除額の比較:2,000万円≦2,200万円(課税退職所得金額は0円)
退職所得控除額が受け取る退職金の額を超えるため、退職金に税金はかかりません。
勤続30年の人が退職金を3,000万円受け取る場合
勤続30年の人が退職金を3,000万円受け取る場合、税金の計算方法は次のとおりです。
- 退職所得控除額:800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円
- 課税退職所得金額:(3,000万円-1,500万円)×1/2=750万円
- 所得税:750万円×23%-636,000円=1,089,000円
- 復興特別所得税:1,089,000円×2.1%=22,869円
- 住民税:750万円×10%=750,000円
- 3~5の合計:1,861,869円
勤続20年の人が退職金を1,200万円受け取る場合
勤続20年の人が退職金を1,200万円受け取る場合、税金の計算方法は次のとおりです。
- 退職所得控除額:40万円×20年=800万円
- 課税退職所得金額:(1,200万円-800万円)×1/2=200万円
- 所得税:200万円×10%-97,500円=102,500円
- 復興特別所得税:102,500円×2.1%=2,152.5円→(1円未満切捨)2,152円
- 住民税:200万円×10%=200,000円
- 3~5の合計:304,652円
勤続10年の人が退職金を1,000万円受け取る場合
勤続10年の人が退職金を1,000万円受け取る場合、税金の計算方法は次のとおりです。
- 退職所得控除額:40万円×10年=400万円
- 課税退職所得金額:(1,000万円-400万円)×1/2=300万円
- 所得税:300万円×10%-97,500円=202,500円
- 復興特別所得税:202,500円×2.1%=4,252.5円→(1円未満切捨)4,252円
- 住民税:300万円×10%=300,000円
- 3~5の合計:506,752円
勤続3年の役員ではない人が退職金を1,000万円受け取る場合
勤続3年の役員ではない人が退職金を1,000万円受け取る場合、税金の計算方法は次のとおりです。
- 退職所得控除額:40万円×3年=120万円
- 課税退職所得金額:
- (1,000万円-120万円)=880万円 > 300万円
- 300万円×1/2+(880万円-300万円)=730万円
- 所得税:730万円×23%-636,000円=1,043,000円
- 復興特別所得税:1,043,000円×2.1%=21,903円
- 住民税:730万円×10%=730,000円
- 3~5の合計:1,794,903円
勤続3年の役員ではない人が退職金を300万円受け取る場合
勤続3年の役員ではない人が退職金を300万円受け取る場合、税金の計算方法は次のとおりです。
- 退職所得控除額:40万円×3年=120万円
- 課税退職所得金額:
- (300万円-120万円)=180万円 ≦ 300万円
- 180万円×1/2=90万円
- 所得税:90万円×5%=45,000円
- 復興特別所得税:45,000円×2.1%=945円
- 住民税:90万円×10%=90,000円
- 3~5の合計:135,945円
退職金を年金で受け取る場合にかかる税金
退職金は一時金で受け取るほか、年金形式で受け取ることも可能です。この場合、退職金は「退職所得」ではなく、「雑所得」として課税されることになります。
ここでは、退職金を年金で受け取る場合にかかる税金について解説します。
年金受取は原則「雑所得」として公的年金等控除の対象になる
退職金を年金形式で受け取る場合、公的年金などと同じく、原則として「雑所得」として扱われます。この場合には退職所得控除は適用されない一方で、「公的年金等控除」の対象となります。
一時金・年金・併用の比較表
退職金を一時金方式で受け取る場合と年金方式で受け取る場合、両者の併用方式で受け取る場合の違いをまとめると、次のようになります。
| 項目 | 一時金 | 年金 | 併用 |
|---|---|---|---|
| 概要 | 退職金の全額を退職時に一括で受け取る | 退職金を数年に分けて定期的に受け取る | 一部を退職時に受け取り、残額を数年に分けて定期的に受け取る |
| 所得区分 | 退職所得 (退職所得控除の適用あり) | 雑所得 (公的年金等控除の適用あり) | それぞれの所得区分に応じる |
| 社会保険料 | 対象外 | 健康保険料などの社会保険料負担が生じる可能性がある | 年金部分は、社会保険料負担が生じる可能性がある |
| 主なメリット | ・退職時にまとまった資金が得られる ・自分での運用成果によっては資金が増やせる可能性がある | ・計画的に使いやすい ・未受取分が運用されれば、総額が増える可能性がある(制度内容による) | 両者のメリットの「よいところ取り」ができる |
| 向いている人 | ・退職金を自分で運用したい人 ・まとまった資金がすぐに必要な人 ・退職所得控除を活用したい人 | ・少しずつ老後の生活資金を受け取りたい人 ・公的年金が少なく不安がある人 | ・一部をすぐに必要な資金に充て、残りを計画的に受け取りたい人 |
それぞれ該当する所得区分が異なるほか、異なるメリットもあります。そのため、税金の額や老後の生活設計などを踏まえて、ご自分に合った受け取り方法を選択するとよいでしょう。判断に迷う場合には、プロへの相談をお勧めします。
退職金の税金に関わる「3つのルール」【4年・10年・19年】
退職金の税金に関しては、次の3つのルールを知っておくとよいでしょう。
- 4年ルール
- 10年ルール
- 19年ルール
ここでは、それぞれのルールについて解説します。
前年以前4年以内に他の退職金を受け取っている場合(4年ルール)
退職金の4年ルールとは、前年以前4年以内に退職金を受け取っている場合、「重複期間に相当する退職所得控除額」が今回の退職所得控除額から減額される制度です。
たとえば、Xさんがそれぞれ、次の期間に勤務していたとします。
| 勤務先 | 入社時期 | 退職時期 |
|---|---|---|
| A社 | 2010年 | 2022年 |
| B社 | 2010年 | - |
この場合、A社を2022年に退職した際に受け取った退職金の計算では、「2010年から2022年」に対応する期間について退職所得控除を適用していたことでしょう。そうであるにもかかわらず、その後B社を退職する際に、重複期間を含む「2010年から退職時」までのすべての期間について退職所得控除を使えるとなれば、やや不合理です。
そこで、前回の退職金を受け取った時期から4年以内である場合には、重複期間分の退職所得控除額が調整されることとされています。
そのため、2社以上に同時に勤務していた時期があり、それぞれの退職を検討している場合には、退職時期を5年以上空けるほうが税制上のメリットを享受しやすくなるでしょう。
iDeCo・企業型DCを先に受け取る場合(2026年1月から5年→10年ルールに改正)
退職金に関する10年ルールとは、iDeCoや企業型DCによる一時金を受け取ってから10年未満で退職金を受け取る場合、「重複期間に相当する退職所得控除額」が、今回の退職所得控除額から減額される制度です。
退職所得に該当するのは、「勤務先から受け取る退職金」だけではありません。企業型DC(企業型確定拠出年金)やiDeCo(個人型確定拠出年金)から一時金を受け取る場合、これも退職所得に該当します。
しかし、先ほど紹介した「4年ルール」と同じく、それぞれについて同じ期間を対象とする「退職所得控除」が満額適用できるとなれば、やや不合理でしょう。そこで、複数の退職金を受け取る場合には一定の調整がなされることとされています。
具体的には、退職金を受け取る年の前年以前9年内に企業型DCやiDeCoから一時金を受け取っていた場合には、重複期間分の退職所得控除額が調整されることとなります。そのため、退職前に企業型DCやiDeCoからの一時金を受け取る場合、その時点から退職まで10年以上を空けるよう検討するとよいでしょう。
なお、このルールは以前は「5年」であったところ、2026年1月からは10年へと延ばされています。
退職金を先に受け取り、後からiDeCoを受け取る場合(19年ルール)
退職金に関する19年ルールとは、退職金を受け取ってから19年以内にiDeCoや企業型DCによる一時金を受け取る場合、「重複期間に相当する退職所得控除額」が、今回の退職所得控除額から減額される制度です。先ほど紹介した「10年ルール」と、受け取る順番が逆転する場合に適用されるルールです。
そのため、iDeCoや企業型DCを退職後に一時金で受け取る場合、税金だけを考えれば、退職から20年以上空けるのが有利ということになります。
とはいえ、iDeCoや企業型DCの老齢給付金は、原則として60歳から75歳までの間に受け取りを開始しなければなりません。たとえば60歳で退職金を受け取った人が20年空けようとすると80歳となり、制度上そもそも受給できないということです。つまり、退職金を先に受け取るケースでは、19年ルールを完全に回避できる人はごく限られます。
そのため現実的には、19年ルールの回避にこだわるよりも、iDeCoを年金形式で受け取る(この場合は退職所得ではなく雑所得となり、公的年金等控除の対象となります)といった選択肢も含め、税負担と老後の生活設計の両面から受け取り方を検討するとよいでしょう。
退職金で確定申告が必要・したほうが得なケース
退職金を受け取った場合、原則として確定申告は必要ありません。ただし、なかには確定申告をするほうがよいケースもあります。ここでは、退職金の確定申告について、順を追って解説します。
原則は不要だが申告書を出し忘れた場合は確定申告で還付を受けられる
退職所得についてご自分で確定申告をしたり、後日改めて住民税を納付したりする必要はありません。退職金の課税関係は、勤務先による源泉徴収だけで完結するのが原則であるためです。
ただし、先ほど解説した「退職所得の受給に関する申告書」を、所定の期日までに勤務先に提出できなかった場合もあるでしょう。その場合には、一時的に「本来よりも多い税額」が源泉徴収されることになります。そのため、後日確定申告をすることで、払い過ぎた税金の還付が受けられます。
年の途中で退職した場合
年の途中で退職した場合であっても、「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出していれば、退職金の課税関係は源泉徴収によって完結しています。
一方で、給与所得については、前の勤務先で年末調整がされていません。そのため、確定申告をすることで、払い過ぎた税金が戻ってくる可能性があります。
医療費控除などを適用したい場合
医療費控除などの適用を受けたい場合は、確定申告が必要です。なお、医療費控除などの所得控除は、まず給与所得などの総所得金額等から差し引き、そこで引ききれなかった分を退職所得の金額から差し引く仕組みです。そのため、年の途中で退職して給与収入が少ない年などには、確定申告をすることで、退職金から源泉徴収された税金の一部について還付が受けられる可能性があります。
退職金の税金で損をしないポイント
退職金の税金で損をしないためには、次のポイントを押さえることをお勧めします。
- 退職金にかかる税金の計算方法を正しく理解してシミュレーションする
- 受け取り方(一時金・年金)と、iDeCoとの受け取り順を設計する
- プロに相談する
退職金にかかる税金の計算方法を正しく理解してシミュレーションする
退職金の税金で損をしないためには、退職金にかかる税金の種類や計算方法を正しく理解したうえで、シミュレーションしておくことをお勧めします。「仕組み」を正しく知らなければ、節税策を講じることも難しいためです。
受け取り方(一時金・年金)と、iDeCoとの受け取り順を設計する
退職金の税金で損をしないためには、退職金の受け取り方とiDeCoとの受け取り順・時期などを慎重に設計する必要があります。
少なくとも、先ほど紹介した4年ルール、10年ルール、19年ルールについては理解しておくとよいでしょう。これらを考慮せずに受け取れば、支払うべき税金の総額が高くなるおそれがあります。
プロに相談する
退職金の税金で損をしないためには、あらかじめプロに相談するのがお勧めです。プロに相談することで、退職金の額や勤続年数、iDeCoの有無、老後の生活設計などを踏まえたシミュレーションが受けられ、ご自分にとって最適な受け取り方法を選択しやすくなるでしょう。
なお、ハレノヒハレは「未来すべて、ハレになれ。」をコンセプトに、お客様の理想の未来につながる資産形成や家計の見直しなどのサポートを提供しています。退職金の受け取り方法のシミュレーションや老後の生活設計についてプロからのアドバイスをご希望の際は、ハレノヒハレまでお気軽にご相談ください(ご相談したいことがございましたら「お問い合わせ」フォームからご入力をお願いいたします)。
退職金の税金に関するよくある質問
最後に、退職金の税金にかかるよくある質問とその回答を紹介します。
退職金にかかる税率は何%ですか?
退職金にかかる所得税の税率は、課税退職所得金額の額によって異なり、5%から45%です。別途、所得税額に対して2.1%の復興特別所得税がかかります。
このほかに、住民税が10%(市区町村民税6%、都道府県民税4%)かかります。
退職金に税金がかからないのはいくらまでですか?
受け取った退職金の額が、勤続年数に応じて算定した「退職所得控除額」以下であれば、退職金に税金はかかりません。退職所得控除額は、次の式で算定されます。
| 勤続年数 | 退職所得控除額の計算式 |
|---|---|
| 20年以下の場合 | 40万円×勤続年数 ※計算額が80万円未満の場合は80万円 |
| 20年超の場合 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
勤続年数に1年未満の端数がある場合、どう計算しますか?
勤続年数に1年未満の端数がある場合、たとえ1日であっても1年に切り上げて退職所得控除額を算定します。
たとえば、勤続年数が10年3か月であれば11年として、14年と5日であれば15年として退職所得控除額を計算します。
退職金を受け取ったら確定申告が必要?
退職金は勤務先による源泉徴収だけで課税関係が完結するため、原則として確定申告は必要ありません。
ただし、勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を出し忘れた場合や医療費控除を受けたい場合などには、確定申告をすることで源泉徴収された税金の一部が還付される可能性があります。
参照元:退職金と税(国税庁)
退職金にかかる住民税は、いつ課される?
退職金にかかる住民税は、所得税や復興特別所得税とあわせて、退職金の支給時に会社から特別徴収されます。そのため、原則として、後から改めて住民税を納付する必要はありません。
まとめ
退職金にかかる税金について解説しました。
退職金を一時金で受け取る場合、所得税や復興特別所得税、住民税がかかります。しかし、退職金には「退職所得控除」があり、勤続年数が長ければそれだけ控除額も大きくなります。まずは、受給予定の退職金の額や勤続年数から、かかる税金を試算してみるとよいでしょう。
また、退職金のほかにiDeCoや企業型DCなども受け取れる場合、受け取りのタイミングを慎重に検討する必要があります。なぜなら、受け取る時期によっては満額の退職所得控除が受けられず、税金面で損をする可能性があるためです。
大切な退職金を必要以上に税金で目減りさせないよう、プロに相談したうえで、ご自分に合った受け取り方法や受け取りの時期を検討することをお勧めします。
ハレノヒハレは「未来すべて、ハレになれ。」をコンセプトに、お客様の理想の未来につながる資産形成や家計診断、保険の見直しなどのサポートをしています。退職後の生活設計に不安がある際や、退職金にかかる税金について方法別のシミュレーションをご希望の際などには、ハレノヒハレまでお気軽にご相談ください(ご相談したいことがございましたら「お問い合わせ」フォームからご入力をお願いいたします)。
