事業承継の選択肢とは?親族内承継・従業員承継・M&Aの違いと成功のポイントを徹底解説
事業承継は、多くの中小企業経営者にとって避けて通れない経営課題です。
しかし実際には、「まだ元気だから大丈夫」「子どもがいるから何とかなるだろう」「いざとなったら会社を閉じればよい」と考え、十分な準備をしないまま時間が過ぎてしまうケースも少なくありません。
一方で、事業承継は単なる社長交代ではありません。会社の未来を左右する重要な経営判断であり、従業員、取引先、家族など多くの関係者に影響を与えます。
この記事では、事業承継の代表的な3つの選択肢である「親族内承継」「従業員承継」「M&A(第三者承継)」について、それぞれの特徴やメリット・デメリット、成功のポイントをわかりやすく解説します。
ハレノヒハレは「未来すべて、ハレになれ。」をコンセプトに、お客様の未来を「ハレ」にするために事業承継や資産承継についてご相談を受けております。事業承継や資産承継についてどう準備したら良いかわからない方はハレノヒハレまでお気軽にご相談ください。(ご相談したいことがございましたら「お問い合わせ」フォームからご入力をお願いいたします)
事業承継で悩む経営者が増えている
経営者の高齢化が進む中小企業の現状
近年、日本では中小企業経営者の高齢化が大きな課題となっています。
中小企業庁の「2025年版小規模企業白書」では、中小企業の経営者年齢は依然として高く、60歳以上の経営者が過半数を占めているとされています。
また、2024年時点の後継者不在率は52.7%と示されています。つまり、半数程度の企業で、将来誰が会社を引き継ぐのかが明確になっていない状況であり、改善傾向はあるものの、依然として多くの企業が後継者問題を抱えています。
出典:2025年版 小規模企業白書(HTML版) 第9節 事業承継 | 中小企業庁
「子どもが継がない」 「従業員に引き継げる人材がいない」 「会社を譲りたいが相手が見つからない」
こうした悩みを抱えたまま経営を続けている経営者は少なくありません。
また、帝国データバンクの調査では、2025年の休廃業・解散企業における代表者年齢は60代以上が84.1%に達したとされています。これは経営者の高齢化と事業承継の遅れが、会社の存続に大きく影響していることを示しています。
全国企業「休廃業・解散」動向調査(2025年)|株式会社 帝国データバンク[TDB]
利益が出ているにもかかわらず、後継者が見つからず廃業する、いわゆる「黒字廃業」も社会問題となっています。
会社には、長年築き上げた技術、顧客との信頼関係、従業員の雇用、地域での信用があります。後継者不在による廃業は、単に一つの会社がなくなるだけでなく、従業員の生活や取引先、地域経済にも大きな影響を与えます。
さらに重要なのは、事業承継は思っている以上に時間がかかるということです。70歳を過ぎてから考え始めるのと、60歳前後から準備を始めるのでは、選べる選択肢の数が大きく変わります。
事業承継は単なる社長交代ではない
事業承継というと「社長の椅子を次の人に渡すこと」と考える方もいます。
しかし実際には、それほど単純ではありません。
会社を引き継ぐということは、経営権だけでなく、株式、取引先との関係、従業員との信頼関係、技術やノウハウ、会社の理念や文化を次世代へ引き継ぐことを意味します。
例えば、社長が変わっただけで主要取引先との関係が不安定になることがあります。長年、先代社長との信頼関係で取引が続いていた場合、後継者がその関係を引き継ぐには時間が必要です。
また、後継者が現場のことはよく知っていても、資金繰り、人事、採用、金融機関対応、経営判断などに慣れていない場合、承継後に苦労することもあります。
そのため事業承継は数か月で終わるものではなく、数年から10年以上かけて準備するケースも珍しくありません。
事業承継には3つの選択肢がある
事業承継には大きく分けて、次の3つの方法があるといわれています。
- 親族内承継
- 従業員承継
- M&A(第三者承継)
どの方法が正しいということではありません。
会社の状況、後継者候補の有無、経営者の想い、従業員や取引先との関係、株式や借入の状況によって、最適な選択肢は変わります。
まず考えるべきは「誰に会社を託したいか」
事業承継を考える際に最初に整理すべきなのは、「何のために承継するのか」という目的です。
例えば、会社をできるだけ長く存続させたいのか、従業員の雇用を守りたいのか、取引先との関係を維持したいのか、創業時からの理念を残したいのか、家族の資産を守りたいのかによって、選ぶべき承継方法は変わります。
家族に会社を残したいのであれば親族内承継が候補になります。
会社の文化や現場をよく知る人に任せたいのであれば、従業員承継が候補になります。
後継者はいないけれど、会社や従業員を守りたいのであれば、M&Aも有力な選択肢になります。
正解は会社によって異なる
事業承継では、「親族に継がせるのが一番良い」という考え方もあれば、「M&Aは会社を売ることだから良くない」という考え方もあります。
しかし実際には、そう単純ではありません。
子どもが会社を継ぐ意思がないのであれば、親族内承継は成立しません。無理に継がせても、本人に覚悟がなければ、従業員や取引先が不安を感じる可能性があります。
一方で、良い相手とのM&Aによって、会社がさらに成長するケースもあります。買い手企業の販売網、採用力、資金力、管理体制を活用することで、自社だけでは難しかった成長が実現できることもあります。
大切なのは、世間一般のイメージではなく、自社にとって最適な方法を選ぶことです。

親族内承継とは
親族内承継の概要
親族内承継とは、子どもや親族に会社を引き継ぐ方法です。
昔から日本で多く採用されてきた事業承継の形であり、創業者の息子や娘が会社を継ぎ、二代目・三代目として経営を続けるケースが代表例です。
中小企業庁の「2025年版小規模企業白書」では、法人企業の約3割が「親族内承継を考えている」とされています。近年は親族が会社を継がないケースも増えていますが、親族内承継は今でも有力な選択肢の一つです。
親族内承継のメリット
親族内承継の最大のメリットは、理念や想いを引き継ぎやすいことです。
幼い頃から会社を見て育った子どもであれば、創業者の考え方や価値観、会社の歴史を理解していることも多くあります。
また、従業員や取引先から受け入れられやすい傾向があります。
「社長の息子さんなら安心だ」 「以前から知っている後継者だから信頼できる」
このような心理が働くためです。
さらに、長い時間をかけて後継者教育ができる点も大きなメリットです。若いうちから現場経験を積ませたり、役員として経営に参加させたりすることで、段階的に経営者として成長してもらうことができます。
加えて、株式と経営権を一体で承継しやすい点も特徴です。株式について細かな計算を最初から理解する必要はありませんが、イメージとしては「会社を動かす権利」を誰に集めるかが重要になります。
親族内承継のデメリット
一方で、親族内承継には課題もあります。
最も多いのは、「子どもが継ぎたがらない」というケースです。
親が当然のように考えていても、子どもには別の人生設計があります。すでに別の会社で働いている、別の仕事をしたい、経営者になるプレッシャーを背負いたくないということもあります。
また、継ぐ意思があったとしても、経営者としての適性があるとは限りません。優秀な技術者や営業担当者であっても、会社全体を見て判断する経営能力は別の力です。
さらに、相続をきっかけに兄弟姉妹間でトラブルになるケースもあります。会社を継ぐ子どもに株式を集中させる必要がある一方で、他の兄弟姉妹から見ると不公平に感じられることがあるためです。
そのため、親族内承継では、後継者教育だけでなく、家族間の話し合い、株式の整理、相続対策を早めに進めることが重要です。
親族内承継の進め方
親族内承継は、一般的に次の流れで進みます。
①後継者候補の意思確認
まずは本人に継ぐ意思があるか確認します。親の希望だけで決めるのではなく、本人が経営者になる覚悟を持てるかを丁寧に話し合うことが大切です。
②後継者教育
現場経験、営業、財務、人事、金融機関対応など、経営者に必要な経験を積ませます。
③株式対策
株式をどのように引き継ぐかを検討します。イメージとしては、会社を継ぐ人が安定して経営できるよう、経営権を整理する作業です。
④相続対策
将来の相続トラブルを防ぐため、家族間のバランスを考えます。会社を継ぐ人と継がない人の間で不満が残らないよう、専門家を交えて整理することが重要です。
⑤取引先・金融機関への周知
後継者を取引先や金融機関に紹介し、少しずつ信頼関係を築きます。
⑥代表交代
十分な準備が整った段階で社長交代を行います。交代後も先代が一定期間サポートすることで、承継が安定しやすくなります。
親族内承継が向いている会社
親族内承継が向いているのは、後継者候補となる子どもや親族がいて、本人にも会社を継ぐ意思がある場合です。
特に、創業者の理念、会社の歴史、地域とのつながりを大切にしたい会社では、親族内承継が合いやすいといえます。
例えば、地域密着型の会社、家族経営色が強い会社、創業者の人柄や想いが会社のブランドになっている会社などです。
また、早い段階から後継者教育ができる会社にも向いています。数年かけて現場を経験し、従業員との関係を築き、金融機関や取引先にも顔を覚えてもらうことで、スムーズな承継につながります。
親族内承継で失敗しやすいケース
親族内承継で失敗しやすいのは、親が勝手に後継者を決めてしまうケースです。
子ども本人に継ぐ意思がないにもかかわらず、親が当然のように後継者と考えていると、話し合いが進まなくなります。
また、社長交代後も先代経営者が実権を握り続けるケースにも注意が必要です。肩書きは新社長に変わっていても、重要な判断をすべて先代が行っている状態では、後継者は育ちません。
従業員も「結局は先代に確認しなければならない」と考えてしまい、新社長の求心力が高まりにくくなります。
さらに、兄弟姉妹間の相続トラブルも大きなリスクです。
会社を継ぐ子どもに株式を集中させる必要がある一方で、他の兄弟姉妹との公平感にも配慮しなければなりません。
従業員承継とは
従業員承継の概要
従業員承継とは、役員や幹部社員など、社内の人材に会社を引き継ぐ方法です。
親族に後継者がいない場合でも、会社のことをよく理解している従業員がいれば、有力な選択肢になります。
例えば、長年会社を支えてきた専務、営業部長、工場長、店長などが後継者になるケースです。
親族内承継と比べると、血縁関係はありませんが、会社の現場を理解しているという点では大きな強みがあります。
従業員承継のメリット
従業員承継の大きなメリットは、後継者が会社の現場をよく理解していることです。
長年勤務している幹部社員であれば、商品やサービス、顧客、従業員の性格、現場の課題などを把握しています。
そのため、社長交代後も事業運営が大きく混乱しにくいという特徴があります。
また、取引先との関係を維持しやすい点もメリットです。すでに取引先と面識がある幹部社員であれば、承継後も信頼関係を引き継ぎやすくなります。
従業員から見ても、外部の知らない人が突然社長になるより、社内で実績のある人が後継者になる方が安心感につながります。
会社の文化や社風を守りやすいことも、従業員承継の大きな強みです。
従業員承継のデメリット
一方で、従業員承継には大きな課題があります。
代表的なのが、株式取得資金の問題です。
会社を経営するには、単に社長になるだけでなく、株式をどのように引き継ぐかを考える必要があります。
株式を持っていない社長は、重要な意思決定に不安定さが残る場合があります。しかし、従業員が自社株を買い取るには資金が必要です。会社の価値が高いほど、個人で資金を用意することは簡単ではありません。
また、経営者保証の問題もあります。
中小企業では、金融機関からの借入に社長個人の保証がついているケースがあります。後継者となる従業員にとって、会社の借入や保証を引き受けることは大きな心理的負担になります。
さらに、従業員から経営者になるには覚悟が必要です。これまで給与を受け取る立場だった人が、資金繰り、人事、採用、投資判断、取引先対応など、すべての責任を負う立場になります。
能力だけでなく、経営者としての覚悟を持てるかが重要です。
従業員承継の進め方
従業員承継は、一般的に次のような流れで進めます。
①候補者選定
社内に後継者候補となる人材がいるかを確認します。能力だけでなく、人望、責任感、経営者としての覚悟も重要です。
②意思確認
本人に会社を引き継ぐ意思があるか確認します。周囲が期待していても、本人が経営者になる覚悟を持てなければ承継は進みません。
③役員登用
いきなり代表にするのではなく、役員などの立場で経営に参加してもらいます。
④経営教育
財務、人事、営業、組織運営、金融機関対応など、経営者として必要な視点を身につけてもらいます。
⑤株式承継対策
株式を買い取るのか、段階的に移すのか、専門家と検討します。
⑥金融機関との調整
借入や経営者保証について、金融機関と早めに相談します。
⑦代表交代
社内外への説明を行ったうえで、正式に代表を交代します。
従業員承継が向いている会社
従業員承継が向いているのは、親族に後継者がいないものの、社内に優秀な幹部社員がいる会社です。
特に、会社文化を守りたい場合や、取引先との関係を大切にしたい場合には有力な選択肢になります。
また、先代経営者が早い段階から権限移譲を進め、後継者候補に経営経験を積ませられる会社にも向いています。
従業員承継で失敗しやすいケース
従業員承継で失敗しやすいのは、後継者候補の意思確認が不十分なケースです。
周囲が「この人なら継いでくれるだろう」と思っていても、本人は経営者になる覚悟を持っていない場合があります。
また、株式取得資金や経営者保証の問題を後回しにすると、最後の段階で承継が進まなくなることがあります。
さらに、社内の人間関係にも配慮が必要です。同じ立場だった幹部社員の一人が社長になることで、他の幹部社員が不満を持つ可能性があります。
「なぜあの人が後継者なのか」という反発を防ぐためにも、早めに役割や責任を明確にしていくことが重要です。

M&A(第三者承継)とは
M&Aの概要
M&Aとは、親族や従業員ではなく、第三者に会社を引き継ぐ方法です。
近年、後継者不在問題の解決策として注目されています。
M&Aというと、大企業同士の買収や合併をイメージする方も多いかもしれません。しかし実際には、中小企業でもM&Aは活用されています。
後継者がいなくても、会社に価値があり、引き継ぎたいと考える買い手がいれば、事業を継続できる可能性があります。
M&Aのメリット
M&Aの大きなメリットは、親族や社内に後継者がいなくても会社を残せる可能性があることです。
廃業を選択すれば、従業員の雇用や取引先との関係は途切れてしまいます。しかし、良い買い手に引き継ぐことができれば、従業員の雇用を守り、取引先との関係を継続できる可能性があります。
また、買い手企業の経営資源を活用することで、会社がさらに成長するケースもあります。
例えば、販売網が広がる、採用力が高まる、設備投資がしやすくなるなどです。
さらに、経営者は株式の譲渡対価を得られる可能性があります。これは、引退後の生活資金や家族への資産承継を考えるうえでも重要なポイントになります。
M&Aのデメリット
一方で、M&Aには注意点もあります。
まず、希望する相手が必ず見つかるとは限りません。会社の業績、財務内容、取引先構成、人材状況、将来性などによって、買い手からの評価は変わります。
また、買い手が見つかったとしても、条件面で折り合わないこともあります。価格だけでなく、従業員の処遇、社名の存続、経営者の引継ぎ期間など、確認すべき事項は多くあります。
さらに、M&Aでは情報管理が非常に重要です。従業員や取引先に早い段階で話が広がると、不安や混乱を招く可能性があります。
そのため、専門家と相談しながら慎重に進める必要があります。
M&Aの進め方
M&Aは一般的に次の流れで進みます。
①会社の現状整理
財務内容、借入、取引先、従業員、強みや課題を整理します。
②企業価値評価
会社がどの程度の価値として評価される可能性があるかを確認します。
③買い手候補探索
M&A仲介会社、金融機関、事業承継支援機関などを通じて候補先を探します。
④条件交渉
譲渡価格、従業員の雇用、社名、取引先対応、引継ぎ期間などを交渉します。
⑤基本合意
大枠の条件がまとまった段階で基本合意を行います。
⑥デューデリジェンス
買い手が会社の財務、法務、税務、労務などを確認します。
⑦最終契約
最終条件を決定し、契約を締結します。
⑧引継ぎ
経営者が一定期間残り、取引先や従業員への引継ぎを行います。
M&Aが向いている会社
M&Aが向いているのは、親族や社内に後継者がいないものの、事業を継続したい会社です。
従業員を守りたい、取引先との関係を続けたい、会社をさらに成長させたいという想いがある場合にも適しています。
また、一定の利益や顧客基盤、技術、地域での信用がある会社は、買い手から評価されやすい傾向があります。
M&Aで失敗しやすいケース
M&Aで失敗しやすいのは、価格だけで相手を選ぶケースです。
もちろん譲渡価格は重要です。しかし、従業員を大切にしてくれるか、取引先との関係を守ってくれるか、自社の文化を理解してくれるかも同じくらい大切です。
また準備不足のまま進めると買い手からの確認事項に対応できず、交渉が止まってしまうことがあります。
情報漏洩や従業員説明のタイミングを誤ることも、失敗の原因になります。
M&Aは会社を「売る」だけではなく、会社を次のステージへつなぐ承継方法です。そのためには、相手選びと準備が非常に重要です。
親族内承継・従業員承継・M&Aの比較
3つの承継方法には、それぞれ特徴があります。
どれが一番優れているというものではなく、自社の状況や経営者の想いに合う方法を選ぶことが重要です。
比較① 理念や想いを残しやすいのはどれか
理念や創業者の想いを残しやすいのは、一般的には親族内承継です。
家族として会社の歴史を知っているため、創業者の価値観を受け継ぎやすいからです。
従業員承継も、長年会社で働いてきた人材であれば、社風や理念を理解しているため、比較的残しやすいといえます。
M&Aの場合は、買い手の考え方によって大きく変わります。理念を尊重してくれる相手であれば良い承継になりますが、効率や利益を優先する相手の場合、会社文化が変わる可能性があります。
比較② 従業員の安心感はどうか
従業員の安心感という点では、親族内承継や従業員承継は受け入れられやすい傾向があります。
特に従業員承継では、社内で信頼されている幹部社員が後継者になる場合、現場の安心感につながります。
M&Aの場合は、従業員にとって不安が生じやすい面があります。ただし、買い手企業が雇用維持や処遇維持を明確に示せば、安心感につながることもあります。
比較③ 株式承継の難易度はどうか
親族内承継では、相続や贈与などを通じて株式を移すことが多くなります。細かな税務計算は専門家に任せるとして、経営者としては「誰にどの程度株式を持たせるか」が重要なポイントになります。
従業員承継では、後継者が株式を買い取る資金をどう準備するかが課題になります。
M&Aでは、買い手に株式を譲渡する形が一般的です。そのため、株式を誰がどのくらい持っているか、少数株主がいないかなど、事前整理が重要になります。
比較④ 資金面の課題はどうか
親族内承継では、相続税や贈与税、自社株評価への対応が課題になることがあります。
従業員承継では、後継者個人が株式取得資金を用意できるかが大きな壁になります。
M&Aでは、買い手から譲渡対価を受け取れる可能性がある一方で、専門家費用や準備費用がかかることがあります。
比較⑤ 準備期間はどれくらい必要か
親族内承継と従業員承継は、後継者教育に時間がかかります。
可能であれば5年から10年単位で準備したいところです。
M&Aも短期間で決まるとは限りません。買い手探し、交渉、調査、契約、引継ぎまで含めると、数年単位で考えておく方が安心です。
比較⑥ 経営者引退後の安心感はどうか
親族内承継では、家族に会社を引き継ぐ安心感があります。
従業員承継では、会社をよく知る人に任せられる安心感があります。
M&Aでは、譲渡対価を得られる可能性があり、引退後の生活設計を立てやすくなる場合があります。
一方で、いずれの方法でも、承継後に先代経営者がどのような立場で関与するかを事前に決めておくことが大切です。
比較表をまとめると以下のとおりです。

事業承継を成功させるための共通ポイント
10年後ではなく「今」考え始める
事業承継で最も大切なのは、早く考え始めることです。
「まだ元気だから大丈夫」と思っているうちに、選択肢は少しずつ減っていきます。
後継者を育てるにも、株式を整理するにも、金融機関と調整するにも時間がかかります。
元気なうちに準備を始めることで、親族内承継、従業員承継、M&Aの中から冷静に選ぶことができます。
会社の見える化を行う
次に重要なのが、会社の現状を見える化することです。
具体的には、財務状況、借入金、株主構成、役員や従業員の状況、主要取引先、特定取引先への依存度、会社の強みと弱みなどを整理します。
会社の状況が見えていなければ、どの承継方法が適しているのか判断できません。
また、M&Aを検討する場合にも、買い手は会社の状況を細かく確認します。日頃から見える化しておくことで、承継準備が進めやすくなります。
経営者保証と株式の整理を進める
事業承継で後継者が不安を感じやすいのが、経営者保証と株式の問題です。
「会社を継ぐということは、借入の保証も背負うのか」 「株式を取得する資金をどうすればよいのか」
こうした不安があると、後継者候補がいても承継が進まないことがあります。
株式については、細かな制度や税務計算を最初から理解する必要はありません。まずは「株式は会社の支配権に関わる重要なもの」「誰が株式を持つかによって経営の安定性が変わる」というイメージを持つことが大切です。
経営者保証についても、金融機関と早めに相談し、後継者の負担を軽くできる方法を検討していく必要があります。
専門家を活用する
事業承継は、経営者だけで抱え込むには難しいテーマです。
税務、法務、財務、人事、相続、金融機関対応など、さまざまな分野が関係します。
相談先としては、税理士、弁護士、司法書士、金融機関、事業承継支援機関、M&A仲介会社、保険代理店などがあります。
例えば、税理士には自社株評価や税務面の相談ができます。弁護士には契約や株主間のトラブル予防について相談できます。司法書士には株式や登記に関する手続きを相談できます。金融機関には借入や経営者保証について相談できます。
保険代理店には、経営者の保障、退職金準備、万一のリスク対策などについて相談できる場合があります。
事業承継は一人で悩むより、早い段階で専門家と一緒に整理する方が現実的です。
まとめ|最も大切なのは「会社を守るための承継」を選ぶこと
事業承継には、親族内承継、従業員承継、M&Aという大きく3つの選択肢があります。
親族内承継は、理念や家族の想いを引き継ぎやすい一方で、後継者本人の意思や相続問題への配慮が必要です。
従業員承継は、会社をよく知る人材に任せられる安心感がありますが、株式取得資金や経営者保証、社内調整が課題になります。
M&Aは、後継者がいない場合でも会社を残せる可能性がありますが、相手選びや条件交渉、情報管理が重要になります。
どの方法にもメリットとデメリットがあり、どれか一つが絶対に優れているわけではありません。
大切なのは、自社の状況と経営者の想いに合った承継方法を選ぶことです。
事業承継は、経営者にとって最後の大きな経営判断ともいえます。
従業員を守る。
取引先を守る。
家族を守る。
そして、長年築いてきた会社を守る。
そのためには、早めの準備が欠かせません。
「まだ先の話」と考えている今こそ、実は最も多くの選択肢が残されているタイミングです。
事業承継は、税務、法務、財務、人事、相続など、さまざまな課題が絡み合います。
まずは自社の状況を整理し、誰に会社を託したいのか、何を守りたいのかを明確にすることから始めてみてください。
一人で悩まず、専門家とともに最適な承継方法を検討することが、事業承継を成功させる第一歩です。
ハレノヒハレは「未来すべて、ハレになれ。」をコンセプトに、お客様の未来を「ハレ」にするために事業承継や資産承継についてご相談を受けております。事業承継や資産承継についてどう準備したら良いかわからない方はハレノヒハレまでお気軽にご相談ください。(ご相談したいことがございましたら「お問い合わせ」フォームからご入力をお願いいたします)


